FRBは3月に開いたFOMCで2018年以来となる利上げを決定。フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25ポイント引き上げ、0.25~0.50%に設定した。
公開された議事要旨によると、参加者数人はもともとは、決定された利上げ幅の2倍にあたる0.5ポイントの利上げを望んでいた。物価上昇率が40年ぶりの高水準となり、さらに「上振れするリスク」もあるなか、一部のFRB当局者は利上げなどの対策をもっと積極的に進めるべきだと主張している。
投資家はFRBが国債などの保有資産をどう圧縮していくか、その手がかりとなる情報にも注目してきたが、3月のFOMCでは月最大950億ドルのペースで削減することで「おおむね合意」したことも判明。この削減幅は市場予想よりもやや大きいものとなっている。
FRBの足元のバランスシートは、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)中に米経済と市場を下支えするために行った毎月の債券購入の結果、以前の倍以上の9兆ドル(約1111兆円)規模に膨らんでいる。
FRBは年内にあと6回、来年さらに3回の利上げをなお見込んでいる。FRBの最大の関心事はインフレ対策だが、当局者はロシアのウクライナ侵攻による経済への影響も「きわめて不確実」だと警告を発している。
市場調査会社バイタル・ナレッジの創業者であるアダム・クリサフリは「議事要旨はインフレに関するコメントであふれており、インフレがFRBにとって最優先事項になっているのは明らかだ。当局は物価の抑制に懸命になっている」とコメント。FRBが5月の次回FOMCで0.5ポイントの利上げを決める可能性は「非常に高い」との見方を示した。
インディペンデント・アドバイザー・アライアンスで最高投資責任者を務めるクリス・ザッカレリは、FRBが計画しているペースで資産圧縮を進めれば完了までに5〜8年かかる可能性があると指摘。「その間にリセッション(景気後退)に入る可能性はきわめて高い」と述べている。
議事要旨の公表後、米株式市場は続落し、ダウ工業株30種平均は0.4%、S&P500種株価指数は1%、ナスダック総合は2.2%それぞれ下げた。