国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の科学者たちが発表した新たな報告書は、化石燃料に頼らないエネルギー分野への「大きな転換」を求めている。1.5度の目標を達成するためには、温室効果ガスの排出量を遅くとも2025年には低下に向かわせ、2030年までに43%削減する必要があるという。
さらに、この報告書は、再生可能エネルギーへの大規模な支出も要求しており、1.5℃を超える温暖化を抑えるためには、再生可能エネルギーへの投資を2030年までに「3倍から6倍」増加させる必要があるという。
報告書は、よりコンパクトで歩きやすい都市の構築など、排出量を削減するためのライフスタイルの変化を取り入れる人々には「大きな未開発のポテンシャル」があると述べている。
低排出量を実現するための、新たな建築資材の開発も重要だと報告書は述べているが、そのような技術はまだ開発の初期段階にあり、産業界でネットゼロエミッションを達成することは「困難」であることを認めた。
メタンガスの排出も2030年までに3分の1程度削減する必要があるが、報告書は、すべての削減目標を達成しても、一時的に地球の気温が1.5℃以上、上昇することを防ぎきれないかもしれないと警告した。
一方で、前向きな要素としては、報告書は、2010年以降に「太陽光発電、風力発電、電池のコストが最大85%まで持続的に低下している」と述べており、再生可能エネルギーへの移行が大きく進展していることを指摘した。
65カ国、278名の執筆者によってまとめられた今回の報告書は、気候変動に関する最も包括的なレビューとされるIPCCからの発信の第3弾だ。2月の報告書は、「生存可能な未来を確保するための期間が、急速に狭まっている」とし、人間の行動がすでに取り返しのつかない水不足や山火事・洪水などの異常気象を引き起こしている可能性があると警告した。
報告書はまた、33億人が気候変動に対して「非常に脆弱」とされる場所に住んでおり、その大半が貧しい国々に集中していると述べた。