その結果、これまでは18歳や19歳のうちであれば、怪しい契約を結んでしまっても、「未成年者取消権」を使って本人や保護者などが契約を取り消せたが、今後はそれができなくなってしまう。
18歳になる前に未成年者の金融リテラシーを高める必要が出てきた。そして、同じく4月から、高校の家庭科の授業のなかで「資産形成」を扱うということもあり、日本でも金融教育への関心が高まっている。
金融教育といっても、資産形成だけでなく経済についても学ぶべきだと筆者は考えているが、なかなか経済について学んでもらうのは難しい。しかし、ここ最近は、子どもたちが興味を持って経済を学ぶという現象が起きている。
その理由となるのが物価の変動だ。
値上げラッシュが続いている
この数カ月、毎日のように値上げを報じるニュースを目にする。スーパーに買い物に行けば食料品を中心に値上げされた商品が多く、車で出かけるとガソリン代の高さに驚かされる。
わが家の子どもや近所の中高生と話をすると、どうやら子どもたちも値上げを実感しているようなのだ。わが家の子どもたちは近所のコンビニエンスストアで「うまい棒が1本10円から12円に値上げ」というお知らせのメモを見たという。
また、近所の中高生は、マクドナルドのハンバーガーが110円から130円に値上がりしたのを目の当たりにし、ローソンで買っていた「熟成紅鮭」のおにぎりも150円から160円に値上がりしたのを教えてくれた。
筆者は、年始から食事制限とさまざまなトレーニングをしてダイエットをしているため、あまり食品などの値上げの実感はない。ラーメンやパン、お菓子はひと口も食べていないので小麦価格上昇の影響は受けないし、それこそ前出のハンバーガーやおにぎりも食べないので、いまのところは関係がない。
しかし、週末の夜中にランニングをしていると、暗闇の中に浮かぶガソリン代を映す電光掲示板に表示された価格が、毎週のように上昇していることには気づいていた。
わが家は春先には花粉の影響で家庭内におけるティッシュの消費量が急増するが、どうやらティッシュも3月に入ってから15%ほど値上げされてしまったようだ。
なぜ値上げラッシュになるのか?
せっかく子どもたちが値上げされている商品の多さに気づいているわけだから、そこをキッカケに経済を一緒に学んでいくのもいいかもしれない。
では、なぜこのところ値上げラッシュとなっているのか? 決して企業が私腹を肥やすべく販売価格を引き上げているわけではない。原材料価格が上昇しているため、利益率を維持するべくやむなく値上げをしているのだ。
原材料価格が上昇している理由は明らかで、中高生でもいくつか挙げられるだろう。まず、ロシアのウクライナ侵攻に伴い、原油価格をはじめとするエネルギー価格が高騰したこと。
そして、コロナ禍におけるロックダウンなどの感染拡大防止策によって経済活動が抑制された後に、一気に経済が再稼働して需要が急増するなか、モノ不足、人不足、物流網の混乱などによって供給が追いつかず、あらゆる原材料や商品価格が上昇したことなどだ。
マクドナルドのフライドポテトが原材料の輸入遅れによって販売停止になったことは、それこそ中高生にとっては記憶に新しいだろう。