世界中に緊迫した空気が流れるなか、翌25日には、いち早くロシアのアクティビスト集団「プッシー・ライオット」などが、ウクライナDAO(分散型自律組織)を立ち上げて、ウクライナ国旗を使ったNFTアートを発表。参加者がその購入を通じて、ウクライナの民間団体に寄付することができる取り組みを実施した。
3月に入ってからは、アート界では続々とアーティストたちがさまざまなウクライナ支援のプロジェクトを発表し、実施している。いくつか紹介したい。
平和への願いが込められたプロジェクト
ヨーコ・オノ「IMAGINE PEACE」
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ヨーコ・オノ「IMAGINE PEACE」(2022)
出典:Circa (https://shop.circa.art/products/yoko-ono)
「IMAGINE PEACE」は、3月3日のロンドンを皮切りに、3月31日までベルリン、ロサンゼルス、ミラノ、メルボルン、ニューヨーク、ソウル、東京の公共空間に、平和を訴えるメッセージを伝えるアートプロジェクトである。
このプロジェクトの一環として「IMAGINE PEACE」プリントがCIRCA.ARTのサイトで3月31日まで100ポンドで販売され、その全収益が国連中央緊急対応基金(The United Nations Central Emergency Response Fund)に寄付される。
JR「Valeriia」
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JR「Valeriia」(2022)
出典:JRウェブサイト(https://jr-art.io/)
フランス人アーティストのJRによって、ウクライナ西部の都市リヴィウで行われたインスタレーションである。
難民となった5歳のウクライナ人少女ヴァレリア(Valeriia)の45メートルにわたる巨大な写真を、100名以上のボランティアが協力して地上に広げた作品で、ヴァレリアを含む750万人のウクライナの子どもたちこそ未来であり、ウクライナが未来のために戦っていることを、このイメージが象徴している。
この作品はTIME誌(2022年3月28日/4月4日号)の表紙にもなっている。
3月22日から3月28日までJRのウェブサイトでVideo NFT「Valeriia Unfurling」(0.08 イーサ)とPhoto NFT「Valeriia」(180ユーロ)が販売され、その全収益がウクライナから避難する難民支援に充てられる。
エキソニモ「WEB SAFE CUPS」
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エキソニモ「Web Safe Cup #FF0000」(2022)
出典:Web Safe Cups(https://websafecups.com/)
「WEB SAFE CUPS」は、ニューヨークをベースとする千房けん輔と赤岩やえによるアート・ユニット「エキソニモ」よるプロジェクトで、アメリカでよくパーティに使われるプラスチックカップをモチーフにしたNFTアートである。
インターネット黎明期に開発され、OSが異なる閲覧環境でも同一色で表現される「ウェブセーフカラー」の216色を、それぞれカップに彩色してNFTをつけて販売する。
当初は寄付を前提としたプロジェクトではなく、「使い捨てない使い捨てカップで、エンドレスでWebセーフなパーティを始めよう!」というテーマだったが、ロシアによるウクライナ侵攻という事態を受けて、「未来に待っている、エンドレスですべての人がセーフなパーティのために!」という平和への願いが込められたプロジェクトとなった。
1カップ=0.1イーサ(約3万円)で、2022年3月5日から3月31日まで販売し、全収益がウクライナの人道支援のため、国際NGO「Save the Children」に寄付される。
──実は、今回取り上げたプロジェクト以外にも、アート界では日々さまざまな支援活動が行われている。私たち1人1人は小さな存在に過ぎないが、どのような形であれ、自分にできる範囲でウクライナ支援に参加していくことが、世界平和への一歩につながると願っている。