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2022.03.16 13:00

水素自動車という新しい選択肢。MIRAIが担う役割とは──TOYOTA

2020年12月にフルモデルチェンジを果たして販売を開始した2代目MIRAI。「G」グレードでは約850kmの航続距離を実現


2014年に発売された初代MIRAIは世界初の量産FCEVという画期的な存在で、様々な面でFCEVであることを前面に押し出した製品だった。ただし、その後のおよそ6年間で販売された台数は国内で3000台強、グローバルでも1万1000台ほど。燃料電池の量産における難しさもあったが、環境車こそ大量に普及しなければ環境の保全という点では直接的な効果が見込めない。開発陣は、クルマとしての魅力にさらに磨きをかけ、広く市場に受け入れてもらいたいという思いを強く抱いたという。
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「やはりクルマはスタイリッシュで、走りがよくないといけない。さらにプラスαの付加価値として将来的な自動運転に結びつく運転支援装置を盛り込んだり、コネクティッド機能を搭載したい。そんな思いから2代目MIRAIを開発しました」


5人乗りへと進化し、ゆったりくつろげる空間を実現。エグゼクティブパッケージでは助手席の可倒式ヘッドレストや後席で空調やオーディオを操作できるコントロールパネルを備える。

実際にMIRAIに試乗してみると、その快適さに驚かされるはず。路面から伝わる振動をきれいに吸収してしまう足回りの仕上がりは見事だし、急加速を試してもFCEV特有のエアコンプレッサーからのノイズが聞こえることもなく、車内は驚くほど静か。田中が指摘した通り、1台のクルマとしてまさに魅力的な存在だった。
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そんなMIRAIが、SUV人気のなかセダンで仕立てられた理由もまた、クルマの性格を表している。

「セダンというのは、クルマの基本性能を磨くうえで有利な車型です。重心が低いのでハンドリングと乗り心地のバランスをとりやすいですし、キャビンと荷室の間が仕切られているので静粛性の面でも有利です。また、背が低いセダンは、SUVに比べて空気抵抗が小さいうえに車重も軽いので、1回の水素充填で走行距離を長く取れるというメリットもあります」

続けて、こんな逸話も聞かせてくれた。


発電のため、MIRAIは走行時に空気を取り入れる。その特徴を生かし、MIRAIには空気清浄システムを搭載。水素で走るゆえゼロエミッションで、さらに空気をきれいにするからマイナスエミッションというわけだ。環境への貢献はグラフィカルに表示される。

「MIRAIはゼロエミッションではなく、マイナスエミッション、つまり走行時に取り入れた空気をよりきれいにして排出することができます。これはPM2.5レベルの細かい粒子まで捕捉するエアクリーナーエレメントや有害物質を除去するケミカルフィルターを装備した効果ですが、どれだけ空気をきれいにしたかを表示する空気清浄メーターを装備し、お客様に楽しんでいただけるように工夫しました」

環境に配慮するから水素自動車。そんな選択肢を広げるMIRAIに注目だ。

Text by Tatsuya Otani

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