「遊んで稼げる」オンラインゲームで貧困を抜け出す人々

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アクシー・インフィニティを取り巻くエコシステムの発展は著しい。高収入を見込める仕事と考えて参入するプレイヤーはもちろん、プレイヤーに融資する銀行家、プレイヤーを雇用するコミュニティマネージャー、新規プレイヤーにノウハウを教えるコーチ、メタバース内に土地を所有する地主などが登場している。

競争コストが急激に上昇するなか、プレイヤーには金銭的支援が必要になり、裕福なマネージャーが「奨学金」としてこれを提供している。銀行家は、モンスターを販売したり、モンスターのチームを貸し出す代わりに、勝利報酬であるSLPの一部を徴収する形で投機をおこなっている。

フーの推定によれば、アクシー・インフィニティのデイリー・アクティブユーザーは約250万人で、このうち40~50%がフィリピン人だ。アクシー・インフィニティやその他のNFTベースのP2Eゲームは、それぞれ独自の閉じたエコシステムを形成しており、人々はそのなかで交流し、ゲームを楽しみ、報酬を稼ぐ。

アクシー・インフィニティの経済は、新規ユーザーの増加を基盤としている。新規ユーザーは3体のアクシーを買う必要があり、この購入代金がアクシーの経済を回しているのだ。

ただし、このモデルは危険を伴う。ゲームの人気が落ち、必要な初期投資が大きくなりすぎれば、人々はアクシーを去り、もっと手頃な他のP2Eゲームに乗り換えるだろう。

現時点では、新規ユーザー数の成長は爆発的だ。アクシー・インフィニティの開発会社であるベトナムのスカイ・メイビスは、1億5200万ドルの資金調達に成功し、評価額は30億ドルにのぼる。同社の売上はすでに20億ドルを突破したとされる。同社のマーケットプレイス取引高は、1日に3000~4000万ドルに相当する。

こうしたデジタルエコノミーを、単なるゲームと片付けるのはたやすい。だが、それがメタバースにおいて「仕事」の定義を書き換え、人々に生計を立て家族を養う手段を提供していることも、また事実なのだ。

翻訳=的場知之/ガリレオ

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