日本のCBDに関する法律のホント

Olena Ruban / Getty Images


CBDを日本で扱う上でのグレーな部分


日本では、大麻成分と言えばTHCが悪者の代表格です。本当に「悪い成分」であるかと問われると答えに窮するのが本音です。「良い・悪い」は個々人の価値観の問題であり、我々が社会に属するために、その線引きは法律に準ずることになるからです。ただ昨今、世界では大麻に関して、その取り扱いは大きく変化しており、日本もその影響を今後受けていくことになると考えられます。ここからの世界的な市場規模を考えると、日本がその波に乗り遅れることは、経済的な側面においてデメリットは大きいように思います。

日本において「部位規制」であるにも関わらず、THCが規制対象の成分であることは間違いありません。法的には「部位規制」なのですが、違法成分の有無が問題となるのです。「CBDを国内で合法的に扱うためには、THCが検出されないこと」が基本です。

当然CBDは国内で製造できないことは自明です。つまり、原料は海外からの輸入に頼ることになります。輸入するには、2つの手続きをとることになります。

・CBD製品輸入の際には、各業者が、税関と厚生労働省関東信越厚生局麻薬取締部(通称マトリ)に合法部位からCBDが抽出されているという証明書、THC(Δ8-THC、Δ9-THC)が0もしくはND(NotDetected;非検出)と書かれている成分分析表、原料の写真、製造工程写真の4点を提出します。

・税関では提出書類を参考に、各税関のルールに基づき通関許可を出します。マトリでは提出された書類上での判断と、電話による各業者への合法確認が行われます。

読んでいただくと、輸入業者の裁量が大きいことが分かると思います。このことが原因で現在までに起こった事例を以下に紹介します。

・厚生労働省からは2022年2月時点でこれまでに3社、「大麻成分THCを含有する製品について」という形で発表。


(厚生労働省 HPより)

書類を提出し輸入許可を得て国内に持ち込み、販売をしていたと推察されます。合法の確認を行っているにも関わらず、THCが検出されたと厚労省によって発表される事態になっています。

これは、マトリでなく、厚労省がガイドラインで設定している「THCが0もしくはND(非検出)」のルールによって発表されたものと考えられます。輸入の手続きでは、THCの含有検出に関して、各社の自由裁量が大きく、検査方法、検出限界値がバラバラであり、統一された検査が行われているわけではありません。

これを逆手に取り意図的にTHCを多く含むCBDを輸入している場合もあります。このような製品を消費者が手に入れると意図せぬ形で検挙される可能性があるので注意が必要です。

しかし、上記の厚労省発表では、検査方法の相違により生じた結果ではないかと考えております。上記発表の3社の製品は「THCを含有している」となっていますが、行政発表としては異例の「違法」であると明記されず、回収命令や行政処分もないという発表になっています。あくまでTHCが含有しているために、その状況自体が合法部位からの抽出ではない可能性があるという言及にとどまっているのです。
次ページ > 来年の通常国会で大麻取締法改正案提出へ

文=柴田耕佑

ForbesBrandVoice

人気記事