ライフスタイル

2022.03.10 16:30

日本のCBDに関する法律のホント

Olena Ruban / Getty Images

Olena Ruban / Getty Images

CBDが徐々に認知されはじめています。多くの方がCBDに興味を持ち、手に取っていただく機会も増えると思います。しかし、日本でCBDを扱うとき、まだ法律がしっかりと整備されておらずグレーな部分が存在しています。今回は、法的な部分に焦点を当てながら、CBDの実情、そして今後の展望について記事を進めてまいりたいと思います。
advertisement

大麻取締法にCBDについての規制は書かれていない!?


現時点で、CBDに関する規制は大麻取締法に書かれてはいません。

これは、CBDに限らず、精神作用があるとされるTHCに関しても大麻取締法で言及はされてはいません。ちなみに、THCもCBDも大麻から抽出される様々な成分(この成分をカンナビノイドと言います)のひとつです。現行法では、成分自体が大麻取締法の対象になっているわけではないのです。大麻取締法の適用判断は「大麻のどの部位から抽出されているのか」になります。これが「大麻の部位規制」と言われるものです。

しかし、実際にはTHCが含有された製品を所持していると検挙対象となる可能性があります。仮に、規制対象の部位以外から抽出された成分であったとしても、です。
advertisement

これには大まかに2つ理由があると考えています。

1. 所持しているものが、どの部位から抽出されたのかの証明が難しいから。

2. 部位規制の対象となっている部位以外からは、THCは検出されるほど抽出されないと捜査側は考えられているから。

現状、このように大麻取締法は運用されていると認識して問題ないかと思います。

CBDに関しても「CBDという成分が違法でない」ということでなく「部位規制(大麻取締法)」において規制対象でないと解釈されているということになります。後述しますが、カンナビノイドには、非合成(天然)カンナビノイドと、合成カンナビノイドが存在し、合成カンナビノイドは大麻取締法でなく「麻薬及び向精神薬取締法」の対象にもなる可能性があります。

ここまでの内容を見ると、大麻取締法は、現状に見合わないナンセンスであると思うのは私だけではないと思います。このような法律であるのにも訳があります。

大麻取締法は、戦後(1948年)に制定され、ほとんど改正なく現在に至っています。諸説ありますが、基本的な理解としてはGHQ(アメリカ合衆国)が麻薬としての大麻を規制しようとしていた中、日本の大麻農家を守る目的で「麻薬の法律」とは別の「大麻取締法」ができたと言われています。

また、大麻については所持が違法で使用は違法でないということについてはご存じの方も多いかと思いますが、これは大麻農家の方が”麻酔い”と呼ばれる大麻を生産している中でTHC成分を吸引してしまう可能性を鑑みて、使用罪は制定されなかったという話です。

さらに、制定当時の1948年では、CBDやTHC等成分がきちんと整理されていないような状況であったため、当時「麻薬」だとアメリカ側が認識していた花穂と葉などの部位については違法とし、神社のしめ縄や大幣(おおぬさ)や衣服、食品などで使用されていた成熟した茎と種子については合法とされたようです。

このような背景から大麻取締法は制定され、現在も、ほぼ更新されることなく運用されています。ここまでで現状に則さない法律になりつつあることが見えてきたのではないでしょうか。

CBDを代表とする、国が規制対象にする必要が無い大麻成分の登場により、現状に則さない面が浮き彫りになったということです。大麻を「成分」として扱う場合、大麻取締法ではどうしても限界が存在してしまうからです。事実、日本で販売がされているCBD製品の取り扱いに混乱を生じさせています。
次ページ > 意図せぬ形で検挙される可能性も

文=柴田耕佑

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事