持続血糖測定デバイスは、次世代の健康管理ツールになるか

Getty Images

持続血糖測定(CGM)と呼ばれる技術が、次世代の体重管理ツールとして利用されるようになりつつある。

CGMは従来、糖尿病患者が血糖値をモニタリングして管理するために用いられてきた。パーソナライズド・ニュートリション(一人一人にあった栄養改善)を求める世間の傾向が高まるなかで、CGMデバイスなどの製品を糖尿病関連以外の用途で利用することの需要も増加している。

それを受けて、ニュートリセンス(NutriSense)などの企業は、自社のCGM製品を、代謝面の健康管理から減量までのあらゆることに使える包括的な健康ソリューションとして売り込んでいる。

ウェアラブルタイプのCGM装置を腕につけると、まさにその名のとおりのこと、つまり持続的な血糖値測定をしてくれる。指を針で刺して採血する必要は一切ない。その後、このモニターが集めた情報がアプリに送られ、睡眠から食事、運動まで、血糖値に影響を与えるあらゆる要素を理解するために、そのデータが役立てられる。

「血糖値がバイタルサインとして認知されつつある。消費者が自分で自分の健康を把握する傾向が強くなっているいま、CGMは、血糖値データを追跡するための最高の手段になる」。ニュートリセンスの共同創業者で最高執行責任者(COO)のダン・ザヴォロトニー(Dan Zavorotny)は、そう語る。

では、実際のところ、この手の装置は減量にどう関わってくるのだろうか?

血中に含まれる主要な糖であるグルコース(ブドウ糖)は、肺から脳にいたるまで、全身のあらゆるものの燃料になっている(ちなみに、グルコースを最も多く消費しているのは脳で、体の糖の半分近くは、脳を機能させるために使われている)。だが、グルコースが多すぎると、糖尿病だけでなく、体や脳の老化、体重増加といった問題にもつながる。

現在のCGMの流行は、減量効果への期待だけでなく、「食事を詳細にモニタリングできること」への期待も理由だ。世間では、パーソナライズド・ニュートリションに対する需要が高まっており、CGMもまた、それに応える一つのツールになりうるわけだ。

ハーバード公衆衛生大学院が公開した記事では、こうした食事追跡を「精密ニュートリション」と表現している。そして、自分の食べたものを詳しく把握することは、一時的な流行にとどまらないと述べている。

より「正確で、ターゲットを絞った」食事戦略の検討と立案は、「病気予防や治療の効果的な手段」になるという。また、DNA、人種、性別、ライフスタイルなどの情報は、それぞれの人が食物をどう消化し利用するかということに極めて大きな影響を与える、とも指摘されている。

同記事では、「平均的な人の場合、野菜、全粒穀物、脂肪の少ないタンパク質を多く食べ、逆に、加工度が高い、糖や塩を添加してつくられた食品の摂取を減らせば、さまざまな疾患のリスクが下がる。このことは、質の高い栄養研究で示されている」と述べられている。

「とはいえ、食物に対する個々の反応に注目した『PREDICT-1』試験などの研究では、まったく同じ食事をとっていても、血液におけるグルコースと中性脂肪の反応は人によってかなり異なることがわかっている」

CGMが、減量に直接的な影響を及ぼすことを証明する確たる証拠はない。だが、CGMデバイスにより、それぞれの人がさまざまな食物とのあいだに築いている複雑な関係を把握し、ライフスタイルを大きく変えるチャンスが得られることは間違いない。それは、減量をバイオハックするための一つの手段になるはずだ。

翻訳=梅田智世/ガリレオ

ForbesBrandVoice

人気記事