ビジネス

2022.03.06

独占!イスラエル外務省から入手。スタートアップ21社「秘蔵ファイル」


イスラエル人起業家と組みたい日本企業が注意すべき3つの点




イスラエルのベンチャー投資黎明期から活動してきた「Vertex Ventures Israel(バーテックス・ベンチャーズ・イスラエル)」。同社のゼネラル・パートナー、デビッド・ヘラーは京都大学で修士号を取得。外国法事務弁護士として日本の弁護士事務所で働いていた経験をもつ。イスラエルと日本の間で四半世紀もビジネスを見てきた屈指の日本通に、イスラエルの起業家と働く際のコツや注意すべき点について聞いた。

──日本の企業で年々、イスラエル企業への関心が高まっている。協業する際の注意点は?

デビッド・ヘラー(以下、ヘラー):日本企業とイスラエルのスタートアップの間で起きる問題の多くは、「企業文化」が原因。日本では稟議書を提出したり、根回しをしたりするのに対して、イスラエルの起業家は早く動くことを好む。日本の企業文化を知らないため、彼らには意思決定に時間がかかる理由が理解できない。その間、他国からより良い話が来てとんとん拍子で進んだ場合、そちらへ流れてしまうことがある。かつては米国だったが、近年は後からきた中国や韓国の会社にも取引を取られている。もったいないことだ。

──日本の企業はどう対応すればいいのか?

ヘラー:イスラエルの起業家にとって日本は重要な市場であり、提携先企業は魅力的なパートナーだ。迅速な意思決定をするのが理想的だが、難しい場合は「きちんとコミュニケーションを取ること」が大事。どうして時間がかかるのか、その理由とプロセスを共有し、こまめに進捗状況についての連絡を入れること。具体的な進捗がなければ、あいさつ程度でもいい。逆に、頓挫しそうな場合は早めに伝えること。うやむやにするのはダメだ。イスラエル社会は横のつながりが強い。悪い評判は、あっという間に広がってしまう。

イスラエルの起業家は概して、議事録やマニュアル作りなどの文書化が苦手。こうした形式知に落とし込む力、作業の丁寧さ、品質管理に定評がある日本企業と補完し合える。互いの特徴を理解すれば、理想的な関係が築けるはずだ。

1. 少しでも迅速に、意思決定をすること
2. 不要な気遣いをせず、まめにやりとりを
3. 無理な時はそう伝え、うやむやにしない


デビッド・ヘラー◎「バーテックス・ベンチャーズ・イスラエル」のゼネラル・パートナー。エルサレム・ヘブライ大学を卒業後、京都大学で修士号を取得。都内で外国法事務弁護士として働いたのち、投資家に転身。25年以上にわたって、イスラエルと日本の間で投資に携わってきた。

編集=上田裕資

この記事は 「Forbes JAPAN No.090 2022年2月号(2021/12/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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