ビジネス

2022.03.06

独占!イスラエル外務省から入手。スタートアップ21社「秘蔵ファイル」


ファンドマネジャーが考える「ユニコーン候補生」の条件




ベンチャー投資業界が活発なイスラエルにあって、プライベート・エクイティ・ファンド(PE)として結果を出してきたのが、カタリスト・インベストメントだ。先進運転支援システム(ADAS)開発企業「Mobileye(モービルアイ)」、広告配信企業「Taboola(タブラ)」などに出資する同社の共同創業者エドゥアルド・クッキアマンに新興企業の真贋をどう見極めてきたのか、話を聞いた。

──1号ファンドを組成したのが1999年。

エドゥアルド・クッキアマン(以下、クッキアマン):当時、ベンチャー投資会社(VC)は数社しかなかったが、今はイスラエルだけで約380社、国際的なVCは100社以上が活動している。2021年は第3四半期までの投資額が170億ドルにも上る。

──米国とイスラエルのつながりはよく知られているが、欧州からの投資と関心はどうか?

クッキアマン:地理的に近いことから、イスラエルと欧州間のビジネス交流の歴史は長い。だが、イスラエルのハイテク業界に関心をもってもらうのは難しかった。それが、今では欧州の大手企業が、産業をディスラプト(破壊)するテクノロジーをもつスタートアップを探しにくる。米西海岸は遠い。イスラエルのほうが近く、来やすいというのもある。

──モービルアイやタブラなどのユニコーンに投資してきた。成長企業に求める基準とは?

クッキアマン:私たちのようなレイターステージの投資会社にとって有利なのは、企業の実績や売り上げを確認できる点だ。とはいえ、求める点はいくつかある。まずは、経営陣だ。モービルアイとタブラ、両社とも創業者を古くから知っていた。そして、彼らは事業計画に対して期待以上の結果を出し続けた。景気変動に対応できるかどうか、も注目すべき点だ。

次に、キャッシュ・フロー経営ができているかどうか。2000年代初頭のドットコム・バブル崩壊と、08年の世界恐慌を経験した身からすると、資金調達が難しくても乗り切れるかどうかは重要だ。最後に、PEファンドとしては、業界リーダーを選ぶようにしている。

1. 経営陣は期待以上の結果を出し続けているか?
2. キャッシュ・フロー経営ができているか?
3. 業界リーダーに成長する可能性はあるか?


エドゥアルド・クッキアマン◎カタリスト・インベストメント共同創業者兼マネジング・パートナー。モービルアイ(自動運転)やタブラ(広告配信)などに出資。1993年には、CEOを務めていたベンチャー投資会社をイスラエルの会社として初めて欧州大陸で上場させた経験をもつ。
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編集=上田裕資

この記事は 「Forbes JAPAN No.090 2022年2月号(2021/12/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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