中には、年中旅行をしているような生活を望む人もいる。米国で別荘を定住地に変えるトレンドを率いているのが、富裕層向けの保養地に住宅リゾートを建設するディスカバリー・ランド・カンパニー(Discovery Land Company)だ。
ディスカバリーが手掛ける施設はポルトガルやハワイなど26カ所に上り、オンサイト医療サービスや世界一流の料理、ゴルフやラケット競技の設備、さまざまな家族向けのアクティビティーを通年提供している。元々別荘としての利用を想定して作られたが、最近は日常生活の場として利用する人が増えている。
そのうちの一つ、米テネシー州ナッシュビルのトゥルーバドー・ゴルフ・アンド・フィールド・クラブでは、住宅375棟のうち125の所有者が本格居住を予定している。またテキサス州オースティンのドリフトウッド・ゴルフ・アンド・ラーンチ・クラブでは、これまでの同社施設と比べ、本格居住する人の数が大幅に増える見込みだ。ニューヨーク州ハドソンバレー地域にあるサイロ・リッジ・フィールド・クラブには、ニューヨーク市を離れ転居先を探す人々が集まっている。
だが、観光地に住宅を購入するのではなく、こうした施設が人気を集める理由は何だろう?その答えは、アメニティーとコミュニティーだ。
例えばトゥルーバドーでは、著名ゴルフコース設計者のトム・ファツィオが手掛けた18ホールのコースが用意され、世界一流の料理や、家族向けのアクティビティーも通年楽しめる。週末には、敷地内の屋外円形劇場で若手や有名アーティストのコンサートが開催され、ナッシュビルの音楽文化を存分に楽しめる。
ドリフトウッドにもトム・ファツィオが設計した18ホールのゴルフコースや、ワイナリー、陸上競技トレーニングセンター、有機農園、一流のスパ施設がある。サイロ・リッジではゴルフに加え、自家栽培の素材を使った料理、乗馬、釣りが楽しめる。
全施設は高いセキュリティーを備え、本格的な医療設備もある。また、多くは一流の学校の近くにある。トゥルーバドーはテネシー州のトップ3に入る学区にあり、ドリフトウッドもオースティンでトップ3に入る学区内に位置している。サイロ・リッジは、車で30分以内の場所に全米トップクラスの私立校が複数ある。
創業者のマイク・メルドマン会長は「利用者の大多数が、子どもを育てる上で楽しく安全な環境を探している家族だ。当社は、生活をより楽で便利にし、楽しめるようにしている。これは、不安定な今の時代に人々が求めるものだ」と語った。