人気続く「アーバンスポーツ」に見る、東京五輪レガシーの先のヘリテージ

東京五輪スケートボード男子ストリート金メダルの堀米雄斗選手(Photo by Pierre Costabadie/Icon Sport via Getty Images)


同じ文脈でアーバンスポーツの振興に取り組んでいるのが、さいたま市だ。

さいたま市には2011年に日本で初めて設立(2018年に一般社団法人化)された「一般社団法人さいたまスポーツコミッション」があり、2021年にはスポーツ庁「スポーツによるグローバルコンテンツ創出事業」の「アーバンスポーツを活用した新しいツーリズムを創出するための事業」に応募し採択された。

この事業が目指したのは、アーバンスポーツを通じた(1)若年層のスポーツ実施率の向上、(2)地域コミュニティ・新たな体験価値の創造、(3)競技者のマナー啓発、そしてこれらを将来的なインバウンド獲得に向けた取組につなげることだ。

同コミッションは国内でも知名度が高い「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」を含め、様々なスポーツツーリズム・イベントに関わっているが、今後はアーバンスポーツにおいても、地域外から人を呼び込むアウター政策を展開していくという。

さいたまスポーツコミッションは一般社団法人 CHIMERA Union、さいたま市と連携し、令和3年度のスポーツ庁「スポーツによるグローバルコンテンツ創出事業」に採択された (c) 一般社団法人 CHIMERA union
さいたまスポーツコミッションは一般社団法人 CHIMERA Union、さいたま市と連携し、令和3年度のスポーツ庁「スポーツによるグローバルコンテンツ創出事業」に採択された (c) CHIMERA union

スポーツ庁もオリパラレガシーの継承を支援


スポーツ庁は令和3年度(2021年度)に「スポーツによるまちづくり・地域活性化活動支援事業」(予算額:1億3596万円)を展開したが、その骨子の一つは、東京2020大会でホストタウン登録された地方公共団体や東京2020参画プログラムの事業を行った組織を、地域スポーツコミッションに発展させるための体制整備の支援だ。

名古屋市、大阪府、韮崎市など、6自治体が地域スポーツコミッションの設立に向けて動き出した他、すでにスポーツコミッションがある13の自治体(銚子市、沖縄市、御殿場市など)も経営の多角化に乗り出すなど、オリパラレガシーを継承する取組に対する補助を行った。

レガシーが大会後に残された遺産としての五輪施設や活動実績だとすれば、それらを賦活(ふかつ)する「アクティベーション」はヘリテージと呼ばれる。

今後も、アーバンスポーツのオリパラレガシー継承に見られるような、長期間に及ぶ、ヘリテージとしての「スポーツによる持続的なまちづくりと地域活性化」への取組が広がることが期待される。

>> 連載:シン・スポーツビジネス論考

編集=宇藤智子

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