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2022.02.20 08:30

ファッション業界の環境負荷に高まる批判、法規制の動きも


一方、ファッションブランドの幹部を対象とした調査では、回答者のほぼすべて(94%)が、「ブランド名は、サステナビリティよりも重要だ」という、消費者とはまったく逆の回答をしていた。

小売企業の幹部に対して、「消費者が最も活用する、サステナブルな買い物の形態は何か?」と質問したところ、最も評価が低かったのは「リセールおよびリコマース(中古品の売買)プログラム」だった。

だが、消費者向けの調査では、これらのプログラムを利用した経験があると答えた人の割合は41%に達した。すでに小売ブランドでは、ルルレモンやリーバイスが、このようなプログラムを実施している。

ベイカー・リテイリング・センターの研究責任者を務めるトーマス・ロバートソン(Thomas Robertson)教授は、「小売企業幹部のうち半分は、消費者がさまざまなEコマース形態を見比べながら買い物をする、その最大の理由は価格だと考えている」と、指摘する。

「だが実際には、価格が動機だと回答した消費者の割合は、全体の27%にすぎない」

こうした驚くような「意識の断絶」を目の当たりにして、ある疑問が浮かぶはずだ。消費者の声に耳を傾けている幹部はいないのだろうか? 店舗の実情を気にかけている人はいないのだろうか?と。

サステナビリティは非常に広い領域にまたがるテーマであるため、アパレル業界は、この問題にはまったく関係がないように見えるビジネスの要素に関しても、いつかはこの問題に直面せざるを得なくなるはずだ。

シーズンの終わりに売れ残った商品を廃棄する悪習は、すでに白日の下にさらされた。今でもこのような商品の処分を行っていることを暴かれた小売ブランドは、厳しい批判に直面している。

何より、過剰な品数を確保することは、値引き販売につながり、利幅の確保や収益性にはマイナス要因となる。

ゆえに、まず考えるべき必要があるのは、「バイヤーはなぜ、売れない商品に過剰な発注を出すのか?」という問題だ。過剰発注という悪い習慣には、実は解決法がある。それは、消費者の声を聞くことだ。

色やデザイン、マーケティング・キャンペーンに至るまで、あらゆるものに関して、今はインターネット上で消費者の意見を聞くことができる時代だ。それなのに、過剰に発注を出すアパレル企業がこれほど多いのは不合理だ。

こうした商品も、製造過程ではサステナビリティが配慮されているのかもしれない。だが、売れ残り、製造元に返品できないというだけの理由で、まったく問題なく着られる衣服がリサイクル施設に送られたり破棄されたりするのは、サステナブルという概念とは真逆だとの批判を免れないだろう。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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