Web3やメタバースの波に乗れ? 起業家は流行をどう捉えるべきか

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また、新しいテクノロジーの領域は、インフラ基盤が整備されていなかったり、こうすればうまくいくといった蓄積されたナレッジも不足していたりするので、手探りでいろいろ試すことになる。

また変化のスピードも早いため、今日うまく行ったことが明日にはもう古臭いものになってしまう可能性がある。常に最新の情報にアンテナを張っていないといけないので、本来のプロダクト開発に割かなければいけない時間がどんどん奪われていく。

もちろん、そういった先の見えない、変化の激しい世界の中で新しいものを創造していくのが起業の醍醐味でもあるのだが、スタートアップの成長に向けて最短距離でやっていくことはおそらく不可能だ。回り道をしてリソースと時間を無駄にすることのリスクを取る覚悟は必要だろう。

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もう1つ知っておきたいのは、過去の歴史を振り返ってみると、必ずしもその道の先駆者が、その後いちばん成功しているとは限らない、むしろそのほうが稀であるということだ。

検索エンジンの世界ではグーグルは最後発だったし、フェイスブックもSNSのなかではそうだった。インターネット以前を見ても、他社の真似をせず、最初にやることが尊いとされていたソニーでさえ、プレイステーションはゲーム機ではまったくの後発だったりしたわけだ。

いまこのタイミングを逃したら成功できないのではないか、と焦る必要はおそらくないだろう。

テクノロジーに惚れ込まないこと


いずれにしても重要なことは、世の中の流れに乗るのか、乗らないのかということではない。つくろうとしているプロダクトが、本質的にどんな価値を提供するのか、どんな顧客の問題を解決するものなのか、そういう基本的なことだ。Web3・メタバースに乗ったあなたのプロダクトが、本当に価値を生み出し、顧客の問題を解決しているものであれば、おのずと成長はついてくる。

とはいえ、もしPMF(プロダクト・マーケット・フィット)が見えない、思ったように成長できない、というような局面に直面したら、冷静に基本に立ち返ってみることが必要だ。

Web3・メタバースでなければならない理由はどこにあるのか、既存のテクノロジーでは解決できない問題なのか、顧客がWeb3・メタバースであることを求めているのか、このような基本的な問いかけをしてみることだ。
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文=村瀬 功

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