Joe Raedle/Getty Images
オレンジは世界有数のオレンジ生産地である米フロリダ州の減産がジュースの価格高止まりの一因となっている。米農務省によると、フロリダ州の2021~22年度の生産量は前年度に比べて約18%減の4350万箱にとどまり、カリフォルニア州(4760万箱)を下回る見込みだ。
フロリダ州のオレンジ生産には樹木の病害が大きな打撃を与えている。「カンキツグリーニング病」と呼ばれるもので、感染すると果実の成熟が妨げられて、早い時期に木から落ちてしまう。
同病は別名「黄龍病」とも呼ばれ、「キジラミ」という昆虫によって細菌が運ばれ、感染すると葉が黄色くなって果実も変形し、やがては樹木が枯れる。「昨年、フロリダ州を襲ったハリケーンがキジラミをいたるところに拡散してしまった」との分析もある。
港湾での荷役を担う労働力やコンテナの不足などの供給制約も、主原料の高騰に拍車をかけた。原油高で輸送に伴う燃料費の上昇も反映した動き。家計の負担が今後膨らめば、いわゆる「リベンジ消費」にブレーキがかかるリスクもある。
こうした厳しい状況が続くなか、米運用会社の「ディレクション・シェアーズ・ETF・トラスト」が1月18日、米証券取引委員会(SEC)に対して商品ETFの目論見書を提出した。「ディレクション・ブレックファースト・コモディティーズ・ストラテジーETF」(朝食ETF)という名称の上場投資信託で、赤身豚肉や小麦、コーヒー、オレンジジュースの各先物のパッケージ運用を行うものだ。
この「朝食ETF」は、近く現実に市場にもお目見えしそうだ。「食品価格が上昇しても同ETFの値上がり益で家計へのダメージは吸収可能」と考える投資家などの、資金の受け皿になるかもしれない。
欧州中央銀行総裁も発言を軌道修正
インフレ長期化への懸念の高まりは、中央銀行の金融政策のカジ取りにも見直しを迫る。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、今月3日の記者会見で「(インフレについて)理事会のテーブルを囲む全員が心配している」と指摘。「インフレ率は予想していたよりもはるかに高くなる可能性がある」などとも語った。