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2022.02.10 08:30

サステナブル・ラボ代表に聞く、これから日本企業が価値を上げる3要素

サステナブル・ラボ 代表取締役CEO 平瀬錬司

サステナブル・ラボ 代表取締役CEO 平瀬錬司

欧米企業に比べて、日本企業はサステナブルな取り組みが劣っていると思うのは早計だろう。今回、7つのランキングを算出したAI企業「サステナブル・ラボ」の代表、平瀬錬司はこう言う。

「項目によっては日本企業の遅れは顕著ですが、そもそも欧米企業は、できないことでも最初に旗を掲げて、後から修正するケースが多い。一方、日本の企業は計画的にできることから積み上げて実績を残す」

そこで平瀬は「信頼の可視化」を提案する。それは、日本企業が得意とする「QCDを進化させた形」だという。

「製造業でよく知られたQCD(クオリティ、コスト、デリバリー)があります。品質と値段と納期という3つの軸に、サステナビリティの〈s〉を付けてQCDsとする。これが今後のポイントになると考えています。例えば企業が原材料を調達するとき、QCDに対して日本企業はその期待に応えてきました。ここに、サステナビリティの軸を加えた指標を活用できれば、新たな品質保証を生むことになるのです」

QCDsというモノサシを打ち出して、各社が指標到達値をオープンにすることで、消費者の購買の基準、就職、投資選定に役立つ。日本企業のお家芸を、グローバルで「売り」にするために可視化するのだ。

この取り組みが決して不可能ではないのは、企業側の意識変化が顕著だからである。例えば、サステナブル・ラボと接点がある事業会社の経営・IR部門や金融機関のアナリストからの質問には変化が生じている。「長期視点」にもとづく内容が増えたというのだ。平瀬が言う。

「企業は長期に渡ってキャッシュフローを生み続けられるか、そして社会に対してインパクトを与え続けられるかを求められるようになりました。短期的に利益を上げているということだけで企業が選ばれるのは、すでに昔の話だということを企業側も理解しているのです」

人生100年時代を考えると、2100年はいまの小学生はまだ存命であり、消費者である。22世紀が決して遠い未来ではないように、長期視点は不可欠である。

長期視点に加えて、意識変化のもう一つのポイントが「視野の拡大」である。事業会社はステークホルダーが増えたことを認識している。株主、従業員、消費者、取引先、地域社会に加えて、将来世代やp24で紹介した総合1位のセイコーエプソンの「諏訪湖」もステークホルダーである。「製造業は環境に負荷を与える」という意識が創業時からあり、諏訪湖を汚してはならないという「制約」を負担と捉えるのではなく、環境保護を念頭に技術革新を行ってきた。
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文=フォーブス ジャパン編集部

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