ビジネス

2022.02.02

元スシローCOOが主導する「おじさんスタートアップ」の野望

まん福HD代表取締役社長 CEOの加藤智治。東大在学中からアメフト選手としても活躍し、社会人Xリーグのアサヒビール・シルバースターでもプレーした


人材のグレートローテーションを生み出したい


まん福HDは現在、ちがさき濱田屋のほか、食肉加工の「さくらや食産」(熊本県)、水産加工の「山佐食品」(静岡県)、精肉店「肉のハッピー」(神奈川県)、唐揚専門店「おぐらの唐揚」(熊本県)の計5社を事業承継している。「日本の食文化を守りたい」と夢を語る加藤は、どんな戦略を描いているのか。


神奈川県の相模原市の精肉店「肉のハッピー」。厳選国産肉と手作り惣菜で地域に愛されてきた

「まずは年間5社を承継し、5年間で25~30社のグループ企業をつくる計画です。世の中のトレンドに左右されにくい肉や魚をメインとする事業が中心となります」

現在の5社で、すでに上流の食品加工から下流の飲食店まで網羅している。そこで培ったノウハウを軸に、さらに承継先を広げていきたいという。

「グループ内に仕入れ先や卸し先が増えれば、シナジーが起こる。中小企業の承継でも、会社の数が増えれば増えるほど、グループとしての生態系ができ、好循環が生まれます」

また、今後は経営に興味のある人材を募集し、承継先の社長として新たに採用することも考えている。

「日本は大都市や大企業に優秀な人材が集中していますが、 “経営”というキャリアを通して、地方や中小企業にも動いていただける仕組みをつくりたい。人材のグレートローテーション(大転換)を生み出したいんです。投資とオペレーションを融合させたこの仕組みが一定のポジションを得られれば、事業承継の課題解決に貢献できる。ゆくゆくは、同様のやり方がほかの産業にも広がっていけばいいなと思っています」

加藤が立ち上げたこの事業承継プラットフォームは、コロナ禍であえぐ中小企業にとって、同業他社やファンドによる事業承継にかわる、新たな選択肢になるかもしれない。

文=三ツ井香菜 取材・編集=田中友梨

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