「人生のあらゆる段階で従業員をサポートしていきたい」。グーグルでチーフ・ピープル・オフィサー(CPO)を務めるフィオナ・チッコーニは発表文で、有給育児期間を延長した狙いをそう説明している。
グーグルはあわせて、子どものいる従業員の有給の育児休暇の期間を12週間から18週間に延ばしたほか、従業員の年次有給休暇を最低15日から20日に増やした。
米国のほかの主要テック企業も子どものできた従業員に有給休暇を提供しているが、期間はグーグルほど長くない。マイクロソフトやエアビーアンドビーは22週間前後、アマゾンは20週間、メタ(旧フェイスブック)やウーバーは17週間前後だ。
一方、ネットフリックスは、最長で1年間、有給の育児休暇を取得できる仕組みを2015年に導入している。このほかセールスフォース・ドットコムやアドビも26週間と、グーグルよりも長期の育児休暇を設けている。
米国では1993年に家族・医療休暇法(FMLA)が成立し、従業員50人以上の企業で雇用されている人など、一部の従業員に対しては無給の育児休暇の付与が義務づけられた。ただ、有給の育児休暇は連邦レベルでは保障されておらず、ワシントン・ポストによるとこうした国は先進国では珍しい。
米労働統計局によると、米国内の民間企業の従業員で有給の家族休暇を取得できる人は、2021年3月時点で10人に2人にとどまっている。
米国民の大半は有給の家族・医療休暇を支持しており、ジョー・バイデン大統領も導入を公約に掲げていた。だが、昨年の「ビルド・バック・ベター(より良き再建)」法案では、一部の民主党上院議員の支持を得るため再出規模を縮小する必要から10月に除外され、実現は遠のいた。ただ、紆余曲折を経て翌月、期間は4週間ながら有給の家族・医療休暇を盛り込むことをナンシー・ペロシ下院議長が明らかにしている。
ナショナルジオグラフィックによると、北欧諸国(デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランド)では平均で47.3週間ほどの有給の育児休暇が認められている。