プライマリークエスチョンに「人」をプラスせよ!
価値観や世界観の違いは、時には「分断」を生みますが、「多様性の確保」は、SDGsを推進するうえで重要な課題です。持続可能な経営を行う為には、様々な価値観や世界観を持つ社員を受け入れていく必要があるからです。
では、どうしたら、価値観や世界観が異なる人と「絆」を築けるのでしょうか。この答えは、「共感」にあります。例え、考え方が違う相手だったとしても「共感」出来る部分があれば対立を回避出来るでしょう。
また、「共感」出来るメンバーが増えれば増えるほど、社内の絆は深まります。「社員が何を考えているか分からない」という経営者は、普段からコミュニケーションをおざなりにしていませんか? 社員を理解したいなら、先ずは朝、「顔」を見て挨拶することから始めましょう。何日か続けていると、「今日は元気がなさそうだ」「今朝は張り切っているな」と、相手のことがどんどん分かるようになるはずです。
アンソニー・ロビンズ氏によると、人間の行動は、その人の頭の中にあるプライマリークエスチョン(中心的な質問)によって決まるといいます。プライマリークエスチョンが、「今期は予算を達成出来るだろうか?」だけになっている人は、常に予算達成を優先させる為に、周囲の人には意識が向きにくくなる傾向があります。
そこで提案したいのですが、プライマリークエスチョンに「人」を加えてみて下さい。「部下はどんな人で、何を求めているだろうか?」という問いが頭の中に少しでも存在すれば、部下に対する理解や共感が育まれるからです。
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リーダーが実践すべき「今すぐ変える3点」とは?
「最近、部下の意識がネガティブだ」「社内の雰囲気がよくない」と感じたことはありませんか?そんなときは、「身体、焦点、言葉」の3点を変えてみて下さい。
身体を変えるとは、呼吸をゆっくりしたり、にこやかな表情を浮かべたりすることです。
また、焦点を変えるとは、様々な事象のどこに焦点を置くかという問題です。「あいつは何で出来ないのか」という思いが優先してしまうと、出来ない理由にばかり目が向いてしまうので、「彼が得意なことって何だろう」と、考え方を切り替えるのです。
そして、言葉を変えるとは、悪口や嘘を言わず、自分の口から出る言葉をよいものにしていくことです。日頃から「ありがとう」という言葉を意識的に使っていれば、感謝の気持ちが自然と湧いてくることでしょう。
このように、リーダーとなる人物(社長)が、それら3点を整えることで、周囲の人々も変わってきます。リーダー(社長)は、人の話し方やふるまいを真似る「マッチング」の対象になりやすいと言われているからです。
臨床心理学者の「バーズバーグの2要因論」によると、給与や福利厚生等の「衛生要因」は、不足すると不満が溜まるが、必要以上に改善しても満足感は得られない。それよりも、仕事のやりがいや人間関係といった「動機づけ要因」を高める方が、はるかにモチベーションや満足感が高まるといいます。
「社員に不満が溜まっているからボーナスでも出すか」という「衛生要因」で解決しようとする社長は、少なくないと思いますが、それだけでは、社員との絆は築けません。社長自ら、「体、焦点、言葉」の3点を改めつつ、社員に「絆徳(ばんとく)」を啓蒙していくことが何より大切なのだと思います。