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2022.02.03

持続化経営に必須の「絆徳(ばんとく)経営」へと導く意識革命を提言

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リフレーミングすべき「7つの罠」とは?


それでは、絆を分断する「罠」とは何でしょうか。ズバリ、7つにまとめてクローズアップしてみました。

(1)「愛情より心の傷を選ぶ」→これは、自分が受けた傷にばかりこだわっていると、大切な絆を失ってしまうということです。例えば、夫婦喧嘩で相手から暴言を吐かれたとします。この時、心の傷より愛情を大事にする人なら、傷はやがてふさがり相手との絆も修復されて幸せな日常に戻るでしょう。

(2)「感謝よりも不足を選ぶ」→例えば、部下が無能なせいで自分の評価が低い」と考える人は、感謝よりも不足を選んでいる人です。不足感を覚えた時は、不満を口にする前に自分が置かれている環境を見つめ直してください。

(3)「幸福より正義を選ぶ」→本来、人間は幸福になる為に生きているのに、正しさだけにこだわっていると本質を見失う、ということです。会社で日報の提出が義務づけられているのに部下が忘れた。しかし、日報の提出にこだわりすぎて、幸福であることを失うよりも、部下が実体としての成果を上げることの方が大切だと気がつくことです。

(4)「信じるより疑いを選ぶ」→この罠にハマる人には、自分を信じることが出来ないという共通点があります。恋愛で考えると分かりやすいでしょう。自分に自信がない人は、常に相手が浮気しているのではないかと疑ってしまい破綻してしまう。つまり、仮に誰かに不利益なことをされても、すぐに割り切って前に進むポジティブさが大切なのです。

(5)「理解より批判を選ぶ」→上司が陥りがちな罠として、例えば、部下のパフォーマンスが最近ガタっと落ちた。その場合、上司がまずやるべきことは、部下への理解を深めることです。「最近きつそうだけど、体調悪くない?」その一言で、相手の人生に対する愛情や理解が深まり、絆もぐっと深まるでしょう。

(6)「与えるより受け取るを選ぶ」→世の中には、与える側になるのは損だと感じる人が少なくありません。お客さまとの絆を作る第一ステップは、相手が求めるものを与えて与えて与えまくることだという点を忘れないのが大切です。

(7)「全体より部分を選ぶ」→会社では、部門間で利害が対立することがよくあります。けれど、冷静になって考えた場合、どこか一部分だけがよくなったとしても、それ以外の部分が取り残されて分断が生まれたなら、全体を見た場合、マイナスだということです。全体を選べる人が多くなるほど、組織の絆は強くなるでしょう。

インド哲学や孔孟・老荘思想などをベースに端的にまとめた7つの「罠」ですが、人は無自覚に生きていると、これらの「罠」に陥りがちです。アメリカを代表する自己啓発書作家アンソニー・ロビンズ氏が「愛には努力が必要」と指摘していますが、よい状態を維持するには、努力が必要です。

前述の7つの対比のうち「よいほう」を選択し続けるには、努力が必要ですが、日頃から常によい選択に寄せていくことで、「経済合理性」と「理念」が高まる事例を私は多数目にしています。


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文=中村麻美

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