ビジネス

2022.01.29

エンタメで上場のザクーCEOが実践 事業にGOサインを出す判断基準

THECOO CEO平良真人(撮影=曽川拓哉)


みんなキャッシュが不足することと万策尽きることを混同してる。キャッシュとして人件費がかかっても、例えば法人セールス事業で補えるのであれば継続できる。僕がベンツを乗り回したりしなければ大丈夫なんです(笑)。

でも万策尽きたときは、おしまい。最初に構想した通りにいく天才なんていないから、万策尽きることにコミットしようと。当たるまで考え、動き続ける。

社員が音をあげたときは、シンプルに何が辛いのかを聞きます。メンタルがしんどいときというのは二つしかなくて、過去に対する後悔か未来への不安です。

僕は山登りが大好きなのですが、以前、危険な山に登った人に「怖くないですか」と聞いたら「怖いと考えない」と。その人いわく、体を三点支持をしながら、一手ずつ手足を動かす。そうすればいつか山頂にたどり着くと。

サイバーエージェントの藤田晋さんと同い年で、創業年もはメルカリと同じ。ですが、成長スピードは全然違います。でも遅いなと思ったって、個体差あるんだから仕方ないんですよ。それを気にするのは、遅く進んできた過去を悔いているわけです。

thecoo平良
撮影=曽川拓哉

大きな差があっても、一つずつマイルストーンを置いて今に集中して進んでいくんです。

今に集中するためには、自分自身を過大評価も過小評価もしないこと。これは昔から気をつけてます。過大評価すると空気の読めない人になるし、過小評価すると自分で自分を責めるようになる。

大切にしている「縁」


先ほど、山の話をしましたが、実は虫とか大嫌いなんですよ。ではなぜ登山するのか。うちの顧客にアウトドア用品の企業がいるのですが、その社員は、商品開発につなげるために頭がおかしいくらい危険な山に登ってるんです。

そこで僕は、「いったい何が楽しいんだ」と思って山に行く。別に登らなくても、登山好きはこんなペルソナでしょ、と想像して仕事はできるのですが、やっぱり実際に体験すれば登ってる人への理解が深まるわけですよ。

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撮影=曽川拓哉

例えば取材も縁ですね。僕がただ質問に対して真面目に答えても面白くない。

変なおじさんだと覚えて帰ってもらったとき、取材してくれた人がその後有名なアーティストと知り合いになって、「そういえばファニコンっていうのをやっている会社があって」と紹介に繋がるかもしれない。

ロードショー(上場承認を受け、株式公開の前に投資家に対して行う会社説明会)も、相当な数やりました。一日7〜8件を10日間ぐらい。

どの経営者も「疲れるので二度とやりたくない」と言うけど、僕はもう一度でもやります。なぜならそこではいろいろな出会いがあるからです。

去年ベストセラーになった「世界は贈与でできている 資本主義の「すきま」を埋める倫理学」っていう本、素晴らしいなと思ってて。見返り求めずとも、すべては輪廻転生で回ってくみたいなことを訴えているのですが、僕はそういう考え方を信じてるんです。

縁が運を呼び込む。だから無駄なことだとしても、やるんです。

文=露原直人 撮影=曽川拓哉

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