ビジネス

2022.01.29

エンタメで上場のザクーCEOが実践 事業にGOサインを出す判断基準

THECOO CEO平良真人(撮影=曽川拓哉)


耳触りいいじゃないですか、好きなようにできるって。でもいざプロジェクトをスタートして、すぐにうまくいくわけはない。「やり方を教えてください」「進め方を決めててください」と言い出す人がいますが、それをしないのがザクーの決まり。

精神論になってしまいますが、それぞれに健全な野心があって、諦めずにやり切る。その文化に合わなかった人は何人もいますね。

だから合否を出す前に、「自由は厳しいんだ」と説明するようになりました。ルールがないから自分の中で価値基準をもっていないとうちには向いていないと。

ターニングポイント2 3つの案から誕生した「ファニコン」


──次のターニングポイントは

スケールする事業を作るため、BtoCのサービスを考え始めたことです。新規事業を作りたいという男性社員がいたので「好きに考えていいよ」と伝えた。「最新の状況を知るためにサンフランシスコに行かせてください」というので、家代と飛行機代だけ渡しました。

4カ月間、アメリカにいる彼とサービスを考えた結果、3つの案が出ました。ファニコン以外だと、ペット版のSNOW(エフェクトをつけられる自撮りアプリ)。そして僕が一押しだったのは、海の一角を借りてできる養殖ビジネスです。採用はされませんでしたが、今もやりたいと思っています(笑)

thecoo平良
撮影=曽川拓哉

最終的にファニコンに決めたのは、彼が「やりたい」と言ったからです。

──事業は何を基準に選定する?

昨年の春に作った、コミュニティのファンに向けたライブ配信の専用スタジオ「BLACKBOX³(ブラックボックス)」の話をしましょう。このアイデアを構想したとき、使われなかった場合の損出の計算から始めました。かかるのは機材や内装工事の費用と家賃。ただ人件費は2人分だけだったので、損があっても取り戻せると判断しすぐにスタートしました。

マックスの損が身の丈に合っていれば問題はありません。

それより重要なのは機会損失にならないかどうか。今始めないことで、取れるはずの利用者や売り上げを失ってしまうのではないかと考えます。

一番気をつけるのは、金額に表せない損です。ブランドへの信用やイメージ。ブラックボックスで闇パーティーをやってはダメです(笑)。

当たり前ですが、法律を守ること、公序良俗に反しないことだけは大事にしています。

ターニングポイント3 事業から手を引くタイミングを議論 


──IPOに向けてはどのような動きがあったか

撤退基準を議論するようになりましたね。その基準というのは、僕かその事業の担当者のどちらかが諦めたとき。でも「俺は絶対に先に諦めない」と伝えます。というのも、万策尽きてないことがよくあるんです。
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文=露原直人 撮影=曽川拓哉

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