3地域の法委員会は1月25日に発表した共同レポートの中で、自動運転車による事故の法的責任は、運転席に座っている人物ではなく、その車両が使用する自動運転テクノロジーの認可を得た企業や団体が負うべきだと提言した。
英国のトゥルーディ・ハリソン運輸大臣は26日、このレポートが国民の自動運転テクノロジーに対する信頼度を高めることにつながり、日々の移動がより安全で環境に優しいものになることを期待していると述べた。
現状の自動運転テクノロジーは、完全な自律走行からは程遠いもので、米国においては自動運転技術を使用した車両による違反行為の法的責任はドライバーにあるとされている。
米国道路安全保険協会(IIHS)のデビッド・ハーキー会長は1月20日、「部分的な自動化」機能を備えた車両の安全性のレーティングを今後発表すると述べた。
昨年10月には、2019年にカリフォルニア州ガーデナで発生したテスラモデルSの死亡事故に関連して、ケビン・ジョージ・アジズ・リアド(27歳)が、2つの重罪で起訴され、テスラのオートパイロット機能を使用中の事故に絡む重罪で起訴された米国初の事例となった。
テスラ、GM、グーグルなどの自動車メーカーやハイテク企業は、数十億ドルを投じてドライバーレスのテクノロジーを開発しているが、現在市販されているシステムは車線を維持したり、危険を察知して自動的にブレーキをかけたりする程度の機能しか実現できていない。
また、MITの研究者であるアシュリー・ヌネスは、フィナンシャル・タイムズの取材に対し、「ドライバーレス技術が実現したとしても、車両のメンテナンスや違法行為の防止には人間の介入が必要だ」と述べている。
英国では、自動運転テクノロジーの法的定義がまだ確立されておらず、3地域の法委員らが提案している法改正案は、まだ存在しないテクノロジーに適用される可能性がある。
今回の法の改正案で、自動運転車の利用者は、自動車保険の加入や子どものシートベルト着用の確認などに関しては、運転者としての義務を負うことが提案されている。
英国の当局は今後、委員会の提言を実現するための法律を導入するかどうかを決定する。