世界が熱狂するK-POPの快進撃。「ファンダム」から読み解くマーケティングとは?

2019年NYセントラルパークでパフォーマンスするBTSを見守るファン(Getty Images)

2019年NYセントラルパークでパフォーマンスするBTSを見守るファン(Getty Images)

マーケティングにおいてこれまで以上に注目を集めている「ファンダム(=ファン集団)」の存在。特に、巨大IT企業群が新しいサービスで既存のビジネスモデルを塗り替えているエンターテイメントの世界では、「熱狂的なファン」の影響力が顕著になってきている。

なかでも、BTSのファンダムである「ARMY」をはじめ、世界で人気を拡大し続けるK-POPのファンダムは、グローバルにその存在感を増しており、その理解を深めることで大きな示唆を得られるのではないだろうか。

2021年10月に開催された「Advertising Week New York」では、マーケティング、広告、テクノロジーといった分野の専門家が一同に会し、ファンダムについて知見のある企業のリーダーたちがディスカッションを展開した。ファンダムを考慮したマーケティング戦略とはどのようなものなのか?セッションから有益な知見に満ちた事例を厳選して紹介したい。

ヴァーチャルコンサートはファンダムをひとつにする働きも


BTSなどのK-POPアーティストをメインに、ヴァーチャルコンサートを手がけているライブストリーミングのエキスパートKiswe社は、パンデミック下におけるファンダムのニーズに応えたテクノロジーの事例を紹介した。

新型コロナウイルス感染拡大以前からヴァーチャルコンサートを手がけていた同社だが、パンデミックによってその意義を改めて再確認したそうだ。

世界191カ国の約100万人のファンが視聴したBTSのヴァーチャルコンサート「MAP OF THE SOUL ON:E」では、ソーシャルディスタンスを余儀なくされ孤独を感じていたファン一人ひとりが、最新のテクノロジーを駆使したヴァーチャルコンサートを通して、会場と自宅をインタラクティブに繋ぎ、リモートでもライブ会場にいるような臨場感を体感した。

ステージとリンクさせてアーティストを応援できる機能をはじめ、チャットルームや、セルフィーをアップロードしてあたかも実際に会場にいるような気分になれるデジタル技術が採用され、リモートでもライブの感動をアーティストとファン、そしてファン同士で分かち合うことができ、ファンダムの絆を深めることに成功したという。

また同社は、BTSのように世界各国にファンダムが存在するアーティストがヴァーチャルコンサートを導入する意義として、オフラインのコンサートツアーで回りきれない国のファンにも、会場の臨場感を体感し、アーティストと繋がる体験を提供できる点も指摘した。

BTS
2021年3月の第63回グラミー賞で韓国人歌手として初ノミネートされたBTS。コロナ禍での授賞式開催だったため、韓国からリモート出演した(Getty Images)
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文=田辺敦子

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