一方で、それに対して自分が、あるいは自分の所属する組織が何をすべきかと問われると、ぱっと答えられない人が多いのではないだろうか。とっつきにくいから、「難しそう」と感じる人もいるかもしれない。
そうしてスルーしてしまいそうになるのを、そのまま放置せず、SDGsを楽しみながら学ぼうと行動を起こした高校生がいる。
沖縄・八重山高校2年生の当銘由羅(とうめゆら)さんは11月21日、石垣島で開かれた「やいまSDGsシンポジウム "THE EARTH VOICE"」の壇上にいた。その会場では、彼が共同開発したボードゲーム 「SDGs学習ゲームGet The Point」の八重山諸島版の完成披露と、ゲーム大会が行われていた。
子ども向けに楽しく遊べるSDGsゲームを
「Get The Point」は、遊びながらSDGsを学べる学習ゲームだ。企画・制作したのは、東京・すなばコーポレーションの門川良平さん。門川さんは、ベネッセコーポレーションでの教材開発や、「うんこドリル」事業のプロデューサーを務めた教育コンテンツ制作者である。
ゲームは、鉄や木材、植物など6種の資源カードを使いながら、「家」「車」などのアイテムを作り、アイテムごとに設定されているポイントを競うというもの。シンプルだが、実はその資源は、「再生できるもの」と「再生できないもの」が設定されている。
Get The Point 八重山諸島版
まずは4人1組のチームで個人が競い合い、ポイントが多い人が優勝。次にチーム対抗戦を行い、4人の合計ポイントで競う。2ゲームを通じて、「奪い合う世界」と「持続させるために協力する世界」を体験することで、持続可能な社会とはなにか、そのために必要なマインドは何かを学ぶことができるのだ。
門川さんは、「SDGsを知ったときに、世の中に必要な考えだと感じました。しかし、認知度が低い。SDGsの認知を広げるには、楽しく遊べるボードゲームが良いのではと思った」と開発の背景を振り返る。
「進研ゼミやうんこドリルに携わった経験から、勉強を楽しいものへと変換する手応えを感じていました。それまで大人向けのSDGsゲームはあったものの、子ども向けのものはなかった。そこで、まず、子どもが楽しめる形にしようと設計しました」
会場で参加者とコミュニケーションをとる門川さん
ゲーム普及のため、門川さんは「Get The Point」の体験会を全国各地で開催している。2020年に石垣島で開いたところ、小学生から年配の人まで参加し、評判もよく、手応えを感じた。八重山諸島版は、神奈川県相模原版に続く、全国で2作目の地域限定版だという。