八重山諸島版を手掛けた当銘さんは、石垣島の中でも自然の多いエリアに生まれ、全校児童10人という小学校で学び、海や山と親しみ、地域の人たちに見守られながら育ってきた。
高校生になりSDGsを知ったときに、「これまで見聞きして考えていたことが言葉になっている」と感じたという。そして、年齢や立場の違いを超えて遊べる「Get The point」を体験し、虜になった。
「面白く、わかりやすく、考えが深まるゲームだなと思いました。楽しく遊びながらも、いつの間にか地球や環境の未来を考えていて。ゲームが終わったあと、『石垣島は協力型の社会を作れているだろうか。これからどういう動きが必要なんだろう』と感じたんです」
もともと、自然に囲まれた石垣島で環境問題を身近に感じていたこともあり、「八重山の小中学生にこのゲームで遊んでもらいたい。八重山ならではの要素を加えたらもっと楽しめるんじゃないか」と、アレンジ版開発に名乗りを上げた。
開発者の門川さんをはじめ、島に拠点をおく企業などの協力者たちとプロジェクトを始動。クラウドファウンディングを実施し、目標金額を大きく超える160万円を集めた。
「動き出してから早かった」と門川さんは話す。八重山諸島版は、通常盤をベースに、資源カードに「海産物」を、アイテムに「ソーキそば定食」を加えるなどして地域性を出し、地元の人により伝わりやすいように仕上げた。
また、ゲーム後に配布する事後学習シートには、地元で行われているビーチクリーンやエコツアーの情報を記載。ゲームのあとのアクションを促す導線を設けたのは、八重山版が初だという。
会話が弾み、交流も生まれる
こうして迎えた11月21日、約120人が参加した大会で、当銘さんはゲーム進行のファシリテーターをつとめた。
会場には熱気があふれていた。舞台上で堂々とファシリテーションをする当銘さん
ルールは前述のとおり、1ゲーム目は一人ずつ資源を使ってアイテムをつくり、集めたカードのポイントを競う。みるみる資源はなくなり、ゲームが終了。2ゲーム目のチーム戦は、資源を残しながら、合計ポイントの多いチームが勝ちとなる。
「鉄はこれ以上使わないほうがいいね」「今回、私は赤瓦の家を作ります」など、どうしたら資源を残せるか、チーム内で話し合う姿が見えはじめる。それぞれのテーブルに認定ファシリテーターをつとめる島の若者がついて、会話を促す場面も見られた。