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2021.12.08

「CVC新元年」だった2021年。さらなる拡大・飛躍へ向かう

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発売中のForbes JAPAN2022年1月号の特集「日本の起業家 BEST10」では、海外機関投資家からの資金流入をはじめ、続々とユニコーンが誕生するなど、ゲームチェンジさなかの「新たなフェーズ」に突入した日本のスタートアップ・エコシステムの全貌について掲載している。今後、ウェブ版では「スタートアップ・トレンド」と称して、著名投資家20人以上へのインタビューを連載形式で掲載していく。

Vol.3では、Eight Roads Ventures Japanマネージングパートナー兼代表のデービッド・ミルスタイン、グローバル・ブレインCEOの百合本安彦へのインタビューを掲載する。(Vol.1Vol.2はこちら)

海外投資家の参入は「お金が先」ではない

━━ Eight Roads Ventures Japanマネージングパートナー兼代表 デービッド・ミルスタイン

海外投資家からの資金流入は、過剰流動性による「お金が先」という訳ではない。日本のスタートアップの「事業がスケール(拡大)している」からお金が入ってきた。一部のクロスオーバー投資家、パブリックサイドの投資家は、間違いなく日本のスタートアップの強さを認めている。多くの海外投資家が参入しているが、まだまだ一部に過ぎないだろう。

現在起きている、日本スタートアップ・エコシステムの変化や進化は、5年〜10年のトレンドがそのまま進んだという印象だ。ここ1年で起きた急激な変化というわけではないのではないか。

2021年に起きたシンボリックな出来事は、米ペイパルによるPaidyのM&A(合併・買収)だろう。IPO(新規株式公開)数に変化がないなかで、イグジット(出口)としてのM&Aはスタートアップ・エコシステムの成長が加速するためには必要だ。今回の超大型M&Aは、「M&A=身売り、失敗」というイメージを覆して、「勝ち組」となった重要な事例となるだろう。

マネーフォワードをはじめ、ポジティブなM&Aを進めている企業もおり、好事例も増えている。日本のスタートアップM&Aではこれまでにない金額規模の3000億円でのM&Aが出たことで「こういう選択肢もありだ」と目が覚めるといいなと思っている。小さい規模でのIPOだと、誰のためのIPOかわからないなかで、規模があり、資金調達を行う「意味のあるIPO」が増えることにもなるのではないか。

日本のスタートアップトレンドは、グローバルのトレンドと同様の路線だ。例えば、ロジスティクス分野、フィンテック分野、HRテック分野などを見ても、似たようなスタートアップが出てきている。日本が遅れているとは感じない。

次のステップは、「世界で戦う」ことだろう。世界で戦うには、経営陣の強さが不可欠だ。PMF(プロダクト・マーケット・フィット)の優先度や海外比率の優先順位について意思決定できないと厳しいだろう。投資先でいうと、WHILLやクラウディアンが好事例だ。こうした傾向はいいトレンドで、続くと思っている。なぜなら、起業家の質も上がってきているからだ。(談)
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文=Forbes JAPAN編集部

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