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2021.11.21 16:30

今改めて考える「よく噛んで食べなさい」の意味

Getty Images

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「よく噛んで食べなさい」

家庭の食卓で必ず一度は聞いたことあるフレーズではないでしょうか? 

親に言われて、ムッとしながらくちゃくちゃ噛んだ思い出がある人も多いかと思います。または、忙しい中で食事を済ませるのに慣れ、同僚や友達に「食べるの早いんじゃない?」と言われる人は、耳が痛くなる言葉かもしれません。

そんなの言われなくてもわかってるよ、と心の中で思いながら、ついつい「温かいものは温かいうちに早く食べないと失礼だから」なんて言い訳をしてしまう。実は僕もその一人です(笑)。



では、どうしてよく噛む必要があるのか? その理由うまく答えられる人はどれだけいるでしょうか。「消化を助けるため」「よく味わうため」などという答えが聞こえてきそうですが、実はよく噛んで得られる効果は複数あり、咀嚼は生活習慣病予防に欠かせない行為だと言われています。

このコラムは『喰い改めよ!』というタイトルで、改めるべきは栄養バランスやライフスタイルだと連想しがちですが、実は何を食べるかより、見落としがちな「食べ方」が大切なポイントでもあります。

「ひみこの歯がいーぜ」


日本咀嚼学会が、よく噛むことの効用を咀嚼回数の多かった弥生時代の卑弥呼にかけて表したキャッチフレーズに、「ひみこの歯がいーぜ」というものがあります。それぞれのワードの意味は次の通りです。

ひ:肥満予防


よく噛んでゆっくり食べると、緩やかに血糖値が上がり、脳の満腹中枢が刺激されます。よく噛まないですぐ飲み込んで食べると、食事が早くなり、満腹感を得る前に食べ過ぎてしまい、結果太ります。よく噛むことは、ダイエットの基本とも言えます。

み:味覚の発達


食べ物の味は唾液の中に溶け、それを味蕾(みらい)という舌の細胞が感知すること(味覚神経)で脳へ伝わります。よく噛むことで唾液が多く分泌され、食材の本来の味に出会えます。

こ:言葉の発音はっきり


よく噛むことで、顎が発達し、歯が正しくはえそろって、噛み合わせがよくなります。また口の周りの筋肉を使うため、表情もとても豊かになります。噛み合わせが良くなると正しい口の開き方ができるようになるので、発音もきれいになると言われています。

の:脳の発達


よく噛むことで脳への血流が増し、脳の動きが活性化され、記憶力や集中力アップに繋がります。子供の知育を助け、高齢者の認知症の予防にも役立ちます。

は:歯の病気予防


唾液には免疫力、殺菌力があります。歯周病菌やむし歯菌の繁殖を抑える作用や、酸の中和・再石灰化など歯の病気予防に重要な作用があります。
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文=松嶋啓介 写真=Getty Images

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