「渋谷をつなげる30人」の立ち上げ当初から国内での横展開を想定していたが、実際にやってみると多くのことが見えてきた。確信できたのは、どの地域であっても、セクターを越えた多様な30人が集まってプログラムを共にすると、同級生のような関係性が構築され、事業が推進されるということ。また、地域によって目的や座組のパターンが異なることもわかってきた。
今回は、8つの地域の「つなげる30人」の取り組みを紹介しながら、成果や課題、今後の展開等について論じていきたい。
主催者の違い、目的の違い
まず、「つなげる30人」の運営モデルは大きくわけて以下の2パターンがある。
1. 私が所属するSlow Innovation(以下、弊社)が自主開催する
2. 地域側が主催し、弊社が運営する
自主開催は、弊社の拠点がある渋谷と京都で行っており、今年で渋谷は6年目、京都は3年目。行政予算は入れず、参加企業から費用を集め、運営を行うのが特徴だ。モデルケースとなるよう、常に新しい手法、切り口でのプロデュースを心掛けている。
例えば、渋谷では区からの正式な協力も得て、区の基本構想「ちがいをちからに変える街」をより推進していくため、メンバーにスタートアップ企業、医療関係者、保育関係者、性的マイノリティの当事者、大学生等を招くなど、多様性を意識しながら新たな可能性を探っている。
京都は、そもそも市と「市⺠協働イノベーション推進の連携協定」を締結しており、「つなげる30人」の実施や「持続可能なまちづくりのコレクティブインパクト」などが項目に入っている。今年のプログラムは、脱炭素社会の実現に向けた「京都宣言」を受け、「脱炭素ライフスタイルのコレクティブインパクト実現」をテーマに展開した。
渋谷をつなげる30人
一方、地域主催の場合は、地域側が事務局業務やメンバー募集を、弊社が業務委託等でプログラム設計や現場でのファシリテーションを担っている。
行政が主催するケースがほとんどであるが、横浜では横浜市立大学、広島では広島県観光連盟(通称HIT)など、地域の民間組織が主催するケースも出てきている。
また運営面においても、弊社が単独で行うのではなく、長野では長野ITコラボレーションプラットフォームと、敦賀ではニューピースとグリーンズと共同運営をしているケースもある。
プログラムの目的は、大きく「地域コミュニティ活性化」「観光産業イノベーション促進」「地域イノベーション創出」に分類できる。