渋谷から全国8カ所へ。まちづくりプログラム成功のカギとは

横浜をつなげる30人


地域イノベーション創出


横浜と長野では、地域イノベーション創出を大きな目的に「つなげる30人」が立ち上がった。いずれも、行政が出した「宣言」がきっかけになっている。

横浜では2019年に「イノベーション都市・横浜」宣言があり、民間企業や大学によるイノベーション人材の交流機会を形成しようと機運が高まっていた。そこで、よりボトムアップのイノベーションを狙い、メンバーでもあった横浜市立大学が主催し、横浜市経済局が協力する形で2020年から「つなげる30人」がスタートした。

みなとみらい地区にある日本有数の企業が多く参加し、強い地元愛、イノベーションへの理解の高さも重なり、盛り上がりを感じる。

特筆すべきは、2期目となる今年、卒業生である1期生が事務局やファシリテーターに立候補し、積極的に活動していることだ(弊社は「監修」という立場で関与)。「地元の人が、つなげる30人を企画し運営する」という理想の姿を2年目で実現しているのは画期的といえる。


横浜をつなげる30人

長野市では今年、「スマートシティNAGANO宣言~市民と創る最高のまちづくり~」が出され、スタートアップ成長支援事業が重視されると同時に、持続的に地域課題を抽出し、オープンイノベーションによる地域課題解決を支援するための仕組みが求められていた。

そこで、数年前から地元長野で「つなげる30人」の実施を構想していたメンバーが有志で事務局を募り、行政と対話を続けていく中で、座組の検討を重ね、プログラムが始動した。セクターを超えたコミュニティを通じ、ボトムアップで地域からイノベーションを起こす新規事業の創出が期待されており、これからのまちづくりの担い手となる若手を中心にメンバーが構成されている。

全国、さらには世界へ


このように、各地で運営や目的は異なるが、今後さらに「つなげる30人」を横展開していくためには、横浜のように「地元の人が、つなげる30人を企画し運営する」モデルへ移行していくことがカギとなる。

そこで、来春を目処に「一般社団法人Project30(仮)」を立ち上げ、「つなげる30人」の価値の拡散、ノウハウの共有、ネットワークの拡充を進めていきたいと考えている。



同時に、国際展開も視野に入れている。国際NGO組織を立ち上げ、まずはスイスでのスタートを予定している。日本発の地域イノベーションプログラムとして、海外でも十分な理解と運用が出来る事を目指していきたい。

連載:渋谷区から始めるコレクティブ・インパクト
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文=加生健太朗

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