分断の壁が溶けた瞬間に起きること
いままでの社会では、産業ごとの分断、規模ごとの分断、職種ごとの分断がなかなか溶けないでいた。インターネットという手段は、その壁を溶かすことを試み続けてきたが、何か肝心な部分が溶けずに溝が埋まることはなかったような気がする。それがICCサミットのような場で分断の壁が溶けた瞬間に、多種多様なイノベーションが起きるのだ。やはりイノベーションのいちばんのヒントは人と人の出会いだとあらためて思うとともに、人と人の出会いにおいてインターネットでは踏み込みきれない「リアルの場の力」を感じる。
今後、このパンデミックがやわらいでいく次の世の中で、リアルの場が生み出すエネルギーに気づく人も多いのではないだろうか。人と人が交ざり合うことでの熱量は、DXできないものだ。
そういった熱量が爆発し、残るべきリアルのよい部分が大きく際立つのも、コロナ後の世界だろう。そのなかで、さまざまな人と人とのつながりにおけるリアルの尊さがあらためて注目されるだろう。そう思うと、リアルでの出会いが再び至るところで戻ったとき、かつてないほど多くのイノベーションが噴き出すかもしれない。今後の世の中のさらなる進化のスピードに対して、ただの傍観者にならぬように人と人との出会いを大切にしたいと思う。
なかやま・りょうたろう◎マクアケ代表取締役社長。サイバーエージェントを経て2013年にマクアケを創業し、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」をリリース。19年12月東証マザーズに上場した。