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コートの真上からつるされた510インチの大型ビジョンは、 試合だけでなくコンサートでも威力を発揮する。

「見る側」の視点に特化し、バスケットボール観戦に最適化した日本初の施設「沖縄アリーナ」が注目されている。バスケの本場だけでなく、広島のマツダスタジアムにも学んだという「最高の場」のつくり方とは。


男子プロバスケットボールBリーグの琉球ゴールデンキングスは、ホームゲームのチケットが発売後即完売するという人気チームだ。クラブを運営する「沖縄バスケットボール」社長の木村達郎の言葉には勢いがある。

「コロナ前でも『ファンクラブに入会しているのに先行チケットが買えない』とお叱りを受けるくらいだった。それが感染症対策で席数を半分にせざるをえない現状で、さらに入手困難になっているんです」

人気をブーストしているのはゲームの面白さだけでなく、2021年3月に落成した「沖縄アリーナ」の集客効果だ。観客1万人収容(バスケットボール開催時は8000人)の6階建て施設は、日本バスケ界初の本格ホームアリーナであり、観戦する楽しさをNBA並みに追求した、日本初の「観客ファースト型」アリーナでもある。

木村がこのアリーナへかけた情熱は尋常ではない。コンセプト設計からラウンジの調度品デザインに至るまで、自身の体験が生かされている。


食事付きのスイートルームを30室備えるなど、かつての「体育館」のイメージを覆す豪華な施設。試合を見ずに館内コンサートを見て楽しむ家族連れの姿も。

木村は東京都渋谷区出身。ビール会社に勤務する父親はスポーツ好きで、幼い息子をしばしば神宮球場に連れていった。

「初めて神宮でナイター観戦をしたのは小学校高学年のころ。夕暮れ時のまばゆい照明の下、ヤクルト戦を観ながら親父が気持ちよさそうに生ビールを飲んでいる。それが僕のスポーツ観戦原体験なんです」

幼いころからバスケットボールに親しんでいた木村は、都立戸山高校で主将を務めた。進学先の筑波大学でもバスケ部に所属し体育教師を目指したが、スポーツ団体を経営する側に惹かれ、卒業後に米国に留学。ボストンの大学院のマスコミ研究科で修士号を取得した。

「アメリカ全土を巡り歩き、NBAのゲームを年間100試合以上観戦しました。当時大スターだったマイケル・ジョーダンのいるシカゴ・ブルズの開幕戦は、試合が行われたアリーナの雰囲気が最高だった。日本のバスケをもっとメジャーにしたいという思いも強くなっていきました」

帰国後に入社したのがNHKのスポーツ中継専門会社。数年間にわたりさまざまなスポーツ番組の制作に携わるうち、日本のスポーツを変えるにはメディアの力だけでは無理だと気づいた。

「来場者からお金を頂戴するからには、ショーアップしてコンテンツとしての魅力を上げていく必要がある。観客から『金返せ!』と罵倒される緊張感なしには、プレーヤーも輝かないんです」

文=武田頼政 写真=平岩 亨

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