スペイン本拠のGlovoは、オックスフォード大学とベルリン社会科学センター(WZB)の共同研究プロジェクトの「Fairwork」と共同で、The Couriers Pledgeというイニシアチブを立ち上げ、配達員の給与体系の透明性の向上や、社会保障の整備を目指していくという。
同社は、2022年の第2四半期末までに配達員の40%を、このイニシアチブの対象とし、2023年末までにすべての市場の配達員をカバーすることを目指す。この取り組みはまず、モロッコとジョージアから始動する。
「ギグエコノミーは、人々に新たな機会をもたらした一方で、そこで働く人々の権利に関しては、課題を抱えている」と、Glovoの共同創業者で広報部長のサシャ・ミショーは述べた。彼は、2023年までに24万人の配達員をこのイニシアチブの対象にすると述べている。
Glovoの母国のスペインの最高裁判所は昨年9月、同社の配達員たちがフリーランサーではなく従業員として分類されるべきだという判決を下したが、欧州では国ごとに異なる規制が敷かれている。
「この取り組みは、当社が事業を展開しているすべての国で実施されるが、オペレーションや物流面の課題により、その時期を遅らせる場合もある」と、Glovoは述べている。
Fairworkは、このイニシアティブの展開を独自の観点で評価し、その結果を公表する。彼らはギグエコノミーで働く人々の労働条件を定期的に評価しており、最近では英国のギグワーカーについての報告書を発表したが、一部の企業はその内容に反発していた。
Glovoが掲げる公約には、賃金の透明性の向上や、保険の適用範囲の拡大、30日間の病気休暇、出産・育児休暇などが含まれている。さらに、アプリの利用を停止された配達員の、不服申立てプロセスの見直しも行うという。
Fairworkのディレクターを務めるオックスフォード大学のマーク・グラハム教授は、この取り組みがギグワーカーたちの雇用環境に新たな基準をもたらす可能性があると述べている。
「現状では、ほとんどのギグワーカーが危険な労働環境や、低く安定しない収入などに苦しんでいる。Fairworkは、特定の企業を推薦するのではなく、企業の方針や慣行について独立した評価を行っていく」とグラハム教授は述べている。