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2021.10.19

各国の大麻企業、ポルトガルに注目 スヌープ・ドッグのVCも投資

ラッパーのスヌープ・ドッグ(Photo by Gabe Ginsberg/Getty Images for RMG)

米ラッパー、スヌープ・ドッグのベンチャーキャピタル(VC)企業カサ・ベルデ・キャピタルは、他のVC企業などと共同で、ポルトガルの医療用大麻企業AceCannに1500万ドル(約17億円)を投資した。カサ・ベルデ・キャピタルによる欧州本土の医療用大麻業界への投資は初めて。資金調達はシードラウンドで行われ、ポルトガルのベンチャーキャピタル企業Lince Capitalが参加したほか、公的資金や借入資本も利用された。

AceCannは調達した資金で、ポルトガルのベンダシュノバシュに高品質な医療用大麻の有機栽培・処理・抽出を行う施設を建設する。建設は9月に始まった。カサ・ベルデのパートナーであるヨナタン・メイヤーは報道発表で、「欧州各地で(大麻)合法化が進む中、高品質な大麻の花や抽出物への需要が急速かつ指数関数的に増えることを見込んでいる。経験のあるチームと独自の栽培・抽出技術、広範なネットワークを持つAceCannは、成長を遂げる欧州の医療用大麻業界に高品質な商品を提供できる」と述べた。

カサ・ベルデ・キャピタルにとって、欧州本土でのベンチャー投資は初めて。英国では2018年、カンナビノイドを用いた複合物や療法の調査・開発・ライセンス供与を行うロンドンのバイオ医薬品企業オックスフォード・カンナビノイド・テクノロジーズ(OCT)に投資していた。

北米の医療用大麻企業がポルトガルに投資


ポルトガルはこのところ、欧州の医療用大麻業界の玄関口となっている。米国とカナダの大麻企業は、ポルトガルに医療用大麻の栽培施設を所有するようになった。

カナダのオーロラ・カナビス(Aurora Cannabis)は2019年2月、医療用大麻とその派生商品を生産する施設を建設するため、ポルトガルで操業許可を持つガイア・ファーム(Gaia Pharm)の株式51%を取得し、ポルトガルに事業を拡大した。同じくカナダの医薬品・大麻企業ティルレイ(Tilray)は今年2月、同社の医療用大麻商品をポルトガルで販売する許可を得た。

消費者向け大麻製品を手掛ける米キュアリーフ(Cureleaf)は、欧州最大の垂直統合型独立大麻企業EMMACの買収を通し、欧州大麻市場に参入した。EMMACは、ポルトガルを含め欧州各地の大麻市場で事業を展開している。

また最近では多国籍大麻企業のクレバー・リーブス(Clever Leaves)が、テトラヒドロカンナビノール(THC)濃度が高い大麻の花を同社のポルトガル施設から米国に初輸出することを発表した。

ポルトガルは2001年、欧州でも先進的なドラッグの非犯罪化に踏み切ったものの、医療用大麻が合法化されたのは2018年になってからだ。ポルトガルに施設を建設している大麻企業は医薬品としての大麻に焦点を当てている。商品はポルトガルで販売できないため、欧州連合(EU)の他の加盟国に輸出されている。
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編集=遠藤宗生

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