この研究では、複数のウイルスに対して防御効果があったとしても、それがどのくらい持続するかは明らかにされていない。研究チームが10月15日に発表した声明によると、これについては現在も、研究を継続中だという。
「汎コロナウイルス」ワクチンは可能か
新型コロナウイルス感染症のパンデミックはすでに、近代史上最も多くの死者を出すものとなっている。世界全体の死者数は、10月18日現在でおよそ490万人にのぼる。
公衆衛生の専門家たちは、SARSと中東呼吸器症候群(MERS)の流行の発生が報告されたから20年がたたないうちに出現したSARS-CoV-2以外にも今後、ヒトに感染する新たなコロナウイルスが現れる可能性はあると警告している。
そのため一部の科学者らは、次のパンデミックの発生に備え、あらゆる種類のコロナウイルスに効果を持つワクチンの研究を行っておくべきだと主張している。複数のウイルスに対してある程度の防御を提供するワクチンがあれば、新たにワクチンの開発を始めるよりも、迅速に接種プログラムを展開することができるためだ。
ペナロザ・マクマスター准教授は発表した声明で、すべてのコロナウイルスに対応できるワクチンを開発することは、恐らく不可能との見方を示している。ただ、SARS-CoV-1とSARS-CoV-2のように類似した部分があるウイルスは、最終的には1種類のワクチンで予防できるようになる可能性があるという。
新たに発表された研究結果は、公衆衛生当局が候補となりうるワクチンを複数、備蓄しておくことを提言。類似したウイルスの出現が報告された場合、すぐに候補のワクチンの試験を行うことができれば、新たなパンデミックの発生を防ぐことができるかもしれないと指摘している。