FIFAはW杯を従来の4年ごとではなく2年ごとに開催する案を発表して以来、これが良案であることをサッカー界に納得してもらおうと躍起になっている。元選手の「レジェンド」たちを集めて支持を訴えてもらったり、FIFAで国際サッカー発展の責任者を務めるアーセン・ベンゲルが、なぜこれがサッカーにとって「正しい解」なのか説明したりしている。これまでに、南アジア諸国の4つのサッカー協会が支持を打ち出している。
こうしたなかローステッドは先週、スイスの新聞ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥングのインタビューで「W杯を2年ごとに開催するのはあまりいいと思いません。ここ(欧州)では欧州チャンピオンズリーグもありますし、南米ではコパ・アメリカ(南米選手権)もあります。ほかのもののためのスペースも残しておくべきです」と述べ、さらにこう続けた。
「わたしは大のサッカー好きですが(中略)、サッカーだけでなくバイアスロン、スキー、テニス、ハンドボールなどがテレビで放映されることも大切でしょう。1つの製品だけを強く推すのはどの製品にとってもよくありません」
アディダスは半世紀以上にわたってFIFAと結びつきがあり、2030年まで、W杯の試合で使われるボールやボランティア用のユニフォームを提供したり、W杯関連の製品を販売したりする契約も結んでいる。アディダスは欧州サッカー連盟(UEFA)のスポンサーでもある。
ローステッドやアディダスは、人々はFIFAが考えるほどW杯の頻繁な開催に飢えていないことに気づいているのかもしれない。W杯が威光を失い始めれば大手ブランドも興味を失っていくだろう。
お金はFIFAに通じる「言葉」だ。アディダスのようなパートナー側が2年に1度のW杯を価値ある投資対象と見なしていないのであれば、FIFA側もそれが正しいものなのか疑問をいだき始めるかもしれない。
W杯の2年ごと開催案をめぐっては、W杯を「希薄化」してしまうとしてUEFAのアレクサンデル・チェフェリン会長が反対しているほか、南米サッカー連盟も変更には「スポーツ面での正当性がない」と批判している。イングランドのプレミアリーグやフランスのプロサッカーリーグ(LFP)などの欧州の各リーグも反対の立場だ。
それでもFIFAのジャンニ・インファンティーノ会長は先週、「非常に魅力のある大会であればこそ、より頻繁に開かれるべきではないか」と述べ、隔年開催計画を進めたい意向を示している。