無意識のうちに部下を妨害してしまう上司とその対処策

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世のなかには、本当にひどい上司がいる。不安のせいか、サディスト的な気質のせいか、その他の数々の性格上の欠陥のせいかは知らないが、何かにつけて部下の力を損なう暴君のような上司のことだ。だが幸いなことに、そうしたケースは、メディアでは大きく取り上げられるが、「よくあること」というわけではない。

それよりもはるかによくある問題は、まったく悪気がないにもかかわらず、知らず知らずのうちに部下の妨害をしてしまう上司だ。これはさまざまな形をとるが、特によく見られるタイプの妨害のひとつが、締め切りに関する非現実的な予測だ。

リーダーの(ほとんどとは言わないまでも)多くは、キャリアをスタートさせたときには最前線の社員だった。彼らは、同僚よりも速く適切に仕事をこなす能力のおかげで、社員としての役割をうまく果たし、その報酬として管理職を手に入れた。この力学を理解することが重要だ。というのも、管理職にいる人の多くは、最前線の社員時代に自分が達成した高い基準をもとに、現在の部下をひそかに評価しているからだ。

たとえば、平社員だったときに1日でリポートを完成させていたマネージャーを想像してみてほしい。マネージャーになったいまは、同じリポートの作成期間として、部下に3日を与えるように言われている。意識しているかどうかはともかく、少なからぬ数のマネージャーは、自分がその3分の1の時間で完成させてきたことを根拠に、3日も与えるのはちょっと馬鹿げていると考えるだろう。

1日でリポートを完成させる野心や能力を誰もが持っているわけではないことは、たしかに彼らも理解している。しかし、1日あれば完成できるという自分の経験があるときに、それに基づく判断を下さないようにするのは難しい。

このことは、どのように部下を妨害するのだろうか? 部下が自分の基準を満たせないと上司が判断したら、自分が平社員時代に与えられたものと同じキャリア上のチャンスや指導、昇進をその部下に与える可能性は低くなる。たしかに、これは無意識的な妨害ではあるが、それでも、部下の進歩にとって有害であることに変わりはない。
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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