EV(電気自動車)向けバッテリーの最大手の1社であるLGは9月23日、テルアビブを拠点とするサイベラム(Cybellum)の株式の64%を1億4000万ドル(約156億円)で取得すると発表した。サイベラムは、元イスラエル国防軍のソフトウェアエンジニアであるMichael EngstlerとSlava Bronfmanらが2016年に設立した企業だ。
LGは近い将来にサイベラムの全株式を取得する計画だ。
「自動車業界でソフトウェアが重要な役割を果たしていることは周知の事実であり、セキュリティの重要性は高まっている。今回の取引でLGのサイバーセキュリティにおける基盤を強化し、コネクテッドカーの時代に向けての準備を進めていく」と、LGのビークル・コンポーネント・ソリューションズ・カンパニーのKim Jin-yongは述べた。
調査会社ガイドハウスインサイツのサム・アブエルサミドは、「LGグループは過去10年間、自動車業界でより大きな足掛かりを得ようとしてきた。ソフトウェアとコネクティビティが自動車の価値に占める割合は年々高まっており、LGの今回の動きは理にかなっている」と述べた。
ガイドハウスインサイツによると、EVの製造台数は、米国の自動車メーカーだけで年間120万台に増える見通しで、カリフォルニア州がガソリン車の新車販売を禁止する2035年に向けて、EV製造のプレッシャーが高まる可能性がある。
そんな中、EVの車載システムに悪意のあるコードが侵入するリスクを最小限に抑えるためのソリューションの重要性は高まっている。
LGは4月、スマートフォン市場から撤退し、ハイテクカーなどの分野に注力すると宣言した。ラックスリサーチのミラージュ・マイナリは、「LGがハイテクカーを推進するためには、サードパーティからいくつかのコンポーネントを取り入れる必要がある」と指摘した。