ビジネス

2021.09.25 07:00

ベゾスが出資する移民のためのフィンテック「Remitly」が上場


移民のためのデジタル銀行を目指す


Remitlyは、大手のウエスタンユニオンよりもはるかに規模が小さく、収益性も低い。しかし、手数料や外国為替のマークアップ率(平均約2%)がウエスタンユニオンよりも低いにも関わらず、Remitly の顧客1人当たりの収益はウエスタンユニオンを上回っている。英国の金融データ企業FXC Intelligenceによると、ウエスタンユニオンの顧客1人当たりの収益が98ドルであるのに対し、Remitlyは136ドルという。

Remitlyの収益性の高さは、顧客ロイヤリティの高さに起因していると考えられる。FXC IntelligenceのCEOのダニエル・ウェバーは、「Remitlyの顧客1人当たりの年間取引額と取引回数は他社を上回っている可能性がある」と述べている。

Remitlyの78億ドルという時価総額は、他の新たに上場したフィンテック企業と並ぶ水準だ。同社の時価総額は、2020年の収益の約30倍に達しており、収益の約27倍の時価総額を誇る英国のWiseよりもやや高い水準だ(Wiseも国際送金のフィンテックだが、より先進国にフォーカスしており、手数料が低い)。

また、ボストン本拠のFlywireは、海外で学ぶ留学生向けに大学の授業料の国際送金サービスを提供しており、時価総額は収益の約38倍だ。

Remitlyは最終的に、移民のためのフルサービスのデジタル銀行になることを目指している。同社は昨年、当座預金口座の「Passbook」の提供を開始したが、まだ大規模な普及には至っておらず、「まだ初期の段階だ」とハグは話している。

近い将来にRemitlyが融資サービスに乗り出すかという質問に、ハグはコメントを避け、「私たちは、顧客の多様なニーズを目の当たりにしている。当社は、送金サービスに限らず、顧客にとって最も信頼できる金融サービスに成長することを目指している」と語った。

編集=上田裕資

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