WSJによると、フェイスブックは、政治家や著名人などの知名度の高いユーザーへの対処をモデレートするための、「XCheck」または「クロスチェック」と呼ばれるシステムを構築したという。
このシステムによって、影響力の強いユーザーが利用規約を破っても、ほとんど影響を受けずに済むようになっていた。「ホワイトリスト」に指定された一部のユーザーは削除ポリシーの施行が免除され、他の人気ユーザーの投稿も、たとえ規約に違反していても、さらなる審査が行われるまでの期間は、掲載され続けていた。
ブラジルのサッカー選手のネイマールは、2019年に彼からレイプ被害を受けたと告発した女性のヌード写真を投稿したが、その写真は「同意のない親密なイメージ」の投稿に関するプラットフォームのルールを破ったにもかかわらず、1日以上掲載され続けていた。
WSJが入手した内部資料には、ホワイトリストに登録されたアカウントが、ワクチンに関する誤情報や、ヒラリー・クリントンが小児性愛者のための売春組織に関与したと主張する陰謀論などを掲載していたことが記されていた。
フェイスブックが2019年に行った内部調査で、同社の弁護士はこれらの慣行が「信頼の失墜」を招くもので、「擁護できない」と判断していたという。
WSJによると、フェイスブックはその後、XCheckシステムの規模と影響力を最小限に抑えており、今年6月の社内の監督委員会では、「少数の決定」のみに利用されていると述べていた。
フォーブスは、フェイスブックにコメントを求めたが、現時点で回答は得られていない。
「我々は世間に公表している取り組みを、実際には行っていない」と、WSJが入手した2019年の社内文書には書かれていた。「一般の人とは異なり、これらの人々は規則に違反する投稿を行っても処分されていない」
WSJが入手した資料には、2020年にXCheckシステムの対象になったユーザーが580万人だったと記されていた。フェイスブックのユーザー数は30億人を超えている。
フェイスブックは、WSJに寄せたコメントで、このシステムが「より多くの理解を必要とする」可能性のあるコンテンツを管理するための「追加のステップ」だったと述べている。担当者は、システムの問題点を確認した後、「ホワイトリストの段階的な廃止を進めている」と述べ、WSJが入手した内部文書が「物語をでっち上げるためにつなぎ合わせた古びた情報だ」と指摘した。