歌舞伎町屈指の高級ホストクラブで、8年連続売上&指名本数ナンバー1の記録を今なお更新し続けるカリスマホストだ。有名誌でモデルを務めるほどの美男たちの中にあって、誰よりも多くの女性を魅了し続け、「推したい」と思わせてきたのには理由がある。カリスマホストが教える「お金を払ってでも会いたい」と思わせる人になる術は、仕事で指名される方法にもつながるかもしれない。越前リョーマ著『成功したいなら誰かの「推し」になれ』(光文社)から紹介する。
都合の良い人はやめる
「お金を払ってでも会いたい」と思わせる存在が、ナンバー1ホストだ。しかしそんなナンバー1ホストを長年務める越前リョーマにも、思うように売上を上げられず悩んだ時期があった。
リョーマ(以下、省略):「今の店『Dew’l』で働き始めた初日、僕は指名を7卓呼びました。でも、お客様は呼べたのに売上が少なかった。一般的な想定額の4分の1から5分の1ぐらいしかなかったんです」
なかなか売上を出すことができないリョーマが店の社長から指摘されたのが、「やさしすぎる」ということ。リョーマは、ホストとして客にやさしく対応することを最優先にしてきた。わがままも受け入れ、相手の気持ちを先回りしてなんでもやってあげる。それが裏目に出ていると、社長は見抜いていたのだ。
越前リョーマ。歌舞伎町の高級ホストクラブで、8年連続売上&指名本数ナンバー1を更新中
「僕がしていたことは『やさしさ』を通り越して、『言いなり』でした。女の子にとって『やさしい人』どころか、『自分の言うことを何でも聞く人』になっていたんです。つまり、『都合のいい人』」
都合がいいだけの人を振り向かせるために、わざわざ大金を使おうとは思わないもの。だからリョーマには、指名をしてくれる客はいても売上を上げられずにいたのだ。そこでリョーマが実践したのは、「言うことを聞く側」から「リードする側」になること。女性の言いなりになるのではなく、主導権をとることを心掛けると、売上はどんどん上がっていったという。
「『いい人』でいれば、嫌われることはありません。でも、男としての魅力もあまり感じさせないんじゃないかな? だって、刺激がないから」
小さな命令を積み重ねてリード
「リードする側」になるためにリョーマが行った方法が、「小さな命令」をすること。
「命令」といっても、いばって「あれしろ」「これしろ」なんて言うだけでは女性の心はつかめない。もっと小さなことから頼んでいくのがコツだという。
例えば、「そのペンとってくれる?」といったこと。あるいは、食事に行ったときにも「料理取り分けて」とお願いする。
「女の子にしてみれば、『ちょっと言われたことをしてあげただけ』という感覚だと思います。でも簡単にできることであっても、そして頼むときの口調が『お願いする』スタイルであっても、『僕の言うことを聞いた』のは事実なんです。
僕が頼んで、お客様が従う。つまり、主導権は僕にあるということです」