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2021.09.28 11:00

世界の偉大なワインには、共通項がある 日本人オーナーが仕掛けるふたつのヴィンテージワイン

写真左:アリエル・サビナ/中央:ルドヴィッグ・ヴァネロン/右:ディディエ・ドゥポン

写真左:アリエル・サビナ/中央:ルドヴィッグ・ヴァネロン/右:ディディエ・ドゥポン

パリのアパルトマンに3人の洒脱な男たちが集まった。孤高のシャンパン・メゾンの社長、アルゼンチンでワインをつくるドクター、そしてニュージーランドのワイナリーをコンサルティングする腕利き醸造家。彼らの前で、日本人オーナーの夢が詰まった「シャトー・ワイマラマ」のワインボトルが、抜栓された。


9年ぶりにフラッグシップ誕生


ニュージーランドのホークス・ベイで、日本人実業家の佐藤茂が経営するワイナリー「シャトー・ワイマラマ」。フランス人辣腕醸造家のルドヴィッグ・ヴァネロンをコンサルタントに擁し、ワールドクラスのワインを生み出すプロジェクトが進められている。

4.5ヘクタールの面積をもつブドウ畑で、サステナブル(持続可能)農法により栽培されているブドウは、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローなどボルドー系の品種に加え、ホークス・ベイでいま最も注目されているシラー。

そこでワイナリーでは、ボルドー系品種を主体にブレンドされる「Minagiwa(ミナギワ)」と「Emigao(エミガオ)」のほか、シラー主体の「Kiraraka(キララカ)」も醸造する。さらに2009年にはカベルネ・ソーヴィニヨン100%の「SSS(エスエスエス)」が誕生。類いまれな年にのみ少量つくられる、ワイマラマのフラッグシップという位置付けである。

至高の品質を求め、いっさい妥協なしにつくられることから、SSSは09年につくられて以来、長らく空白の年が続いた。しかし偉大な年となった18年、満を持して醸造が進められ、このたびボトリング作業も完了。フランスのパリにワイン界の重鎮を集め、18年ビンテージのSSSを試飲しながらのワイン談議と相なった。

若いうちから楽しめる「I」
熟成のポテンシャルが高い「II」


パリのアパルトマンの一室に集いし3人は、このワインをつくり上げた張本人、ワイマラマのコンサルタントのルドヴィッグ・ヴァネロン、幻のシャンパン「サロン」の社長、ディディエ・ドゥポン、そしてドゥポンの友人であり、故郷アルゼンチンのメンドーサで珠玉のワイン「ティアノ&ナレノ」をつくるアリエル・サビナである。

さて、ここで驚きの事実が発覚した。18年のSSSには「I(アン)」と「II(ドゥー)」の2種類があるというのだ。

「甲乙つけがたいブレンドサンプルがふたつあり、どちらか一方には決められませんでした」とヴァネロンが打ち明ける。

ワイマラマでは収穫翌年の6月に主要スタッフが現地に集まり、最終ブレンドを決定する。ヴァネロンがブレンドしたサンプルが数種類提示され、それをスタッフらがテイスティングして決める仕組みだ。

18年のSSSとして最終的に11種類のサンプルが残り、票決が取られた。ところが、2つのワインで意見が真っぷたつに割れ、3時間議論しても結論が出ない。そこで最終的に、18年のSSSはIとIIの2本立てになった。

それぞれのワインはブレンドに使われたブドウ品種が若干異なっている。SSS-Iは82%のカベルネ・ソーヴィニヨンにメルローとカベルネ・フランを少量ブレンドした、典型的なボルドースタイル。SSS-IIはカベルネ・ソーヴィニヨンの比率こそ90%と多めな一方、残り10%をシラーが占める、ホークス・ベイならではの個性的ブレンドだ。

SSS-Iを味わって、自身も赤ワインを手がけるサビナがこうコメントする。

「ブドウを発酵タンクに入れて醸し始めた直後のように、フレッシュな赤いフルーツの香りが印象的です。口に含むとボディに厚みが感じられる一方で、冷涼感もあります。アルゼンチンと共通して南半球のワインらしい。若いうちからバランスが取れていて楽しめますね」

続いて、ドゥポンが評価したのはワインの複雑味。「さまざまなアロマが感じられ、味わいが層になっています。複雑な風味のワインですが、何かが突出して目立つことなく、すべてがひとつに溶け合っていますね。すでにおいしいワインですが、将来的な熟成も期待できるのでは?」

熟成のポテンシャルについてヴァネロンは、「もう7~8年たつとオークのフレーバーもなじみ、さらにおいしく感じられるでしょう。15~20年はよい状態で熟成させられるはずです」と自分自身の作品に満足そうだ。

続いてSSS-IIについてドゥポンが、「シラーの影響が強く、とてもしっかりとした骨格が感じられます。いま飲むのはもったいない」と言うとサヴィナも、「熟成ポテンシャルはSSS-1以上。15年後にまたみんなで集まって開けましょう」と言って笑いを誘う。ヴァネロンは、「白コショウのようなスパイシーさがホークス・ベイのシラーの特徴。力強く、ブレンドの比率は毎年悩みの種です」と語った。


左から、単一の村、単一の品種、単一の収穫年で造られる幻のシャンパン「サロン」。ワイマラマのフラッグシップワイン「SSS」の2009年。そして新たに登場した18年の「SSS-I」と「SSS-II」。サビナ氏が故国アルゼンチンで手がけるマルベック主体の赤ワイン「ティアノ&ナレノ」。いずれのボトルも威風堂々たる面構えだ。

3つのワインの意外な共通点


ところでゲストふたりのワインについても触れておかねばなるまい。

ドゥポンが社長を務めるサロンは、20世紀の初めに毛皮商のウジェーヌ・エメ・サロンが起こしたシャンパン・メゾン。大のシャンパン好きだった彼は、ブレンドが当然というそれまでの慣習を打ち破り、単一の村、単一の品種、単一の収穫年という、これまでにないピュアなシャンパンをつくり上げた。これが当時、社交の場として一世を風靡したパリのマキシムで大はやり。ところが生産されるのは数年に一度。よって、「幻のシャンパン」と呼ばれる存在になった。

一方、サビナの本業は医師。かつてパリのキュリー研究所に勤めていた、免疫学の権威である。祖父は母方も父方もイタリア移民で、アンデス山麓のメンドーサに来てブドウ栽培を始めた。サビナがワインつくりを始めたのは先祖へのオマージュだ。ワイン名の「ティアノ&ナレノ」は祖父ふたりの通称。マルベックを主体とした最高品質のワインを目指し、年産4,000~6,000本の少量生産に徹している。JALのファーストクラスで提供された実績をもつ。

夢を追いかけ異業種から参入、最高の感動を追い求めた妥協なきワインづくり、最良年にのみ採算度外視の少量生産。3つのワイナリーには共通点が多い。

「ワインの評価は時間がかかるもの。ぶれずに信念を貫くことこそ成功への近道」とドゥポンは言う。シャトー・ワイマラマが現在のオーナーシップとなって20年余り。ローンチ時期は未定のSSS-IとSSS-IIは、サロンやティアノ&ナレノと同様、世界中のワインラバーをとりこにする偉大なワインとなるのだろうか。

ワイマラマ ジャパン
https://waimarama-japan.jp/

アリエル・サビナ
◎キュリー研究所にも勤務した免疫学の権威として知られるアルゼンチン人の医師。祖父の遺志を受け継ぎ、故国のメンドーサで至高のワイン「ティアノ&ナレノ」をつくる。

ルドヴィッグ・ヴァネロン◎巨匠ミシェル・ロランの右腕として活躍したワイン醸造家。現在はフライングワインメーカーとして世界中に顧客をもち、ワイマラマのコンサルタントを2015年から務める。

ディディエ・ドゥポン◎メニル・シュール・オジェにあるサロン・ドゥラモット社の社長。サロンは1世紀のうちに30数回しかつくられていない幻のシャンパン。ドゥラモットはその妹的存在の銘柄。



連載「日本人オーナーが目指す世界最高峰のニュージーランドワイン」

#1:公開中|なぜNYだったのか?日本発「幻のワイン」イベントの全貌
#2:公開中|ワインを知り尽くした先に辿り着いた一つのブランド
#3:公開中|初リリースを迎えた、ニュージーランドワインの最高峰 Chateau WAIMARAMA SSS 2009
#4:公開中|佐藤可士和が挑む「ワイマラマ」のブランディング
#5:公開中|「畑がワインの味を決める」ニュージーランドでワインジャーナリストは何を感じたか
#6:公開中|「日本発ワイン×鮨」が仕掛ける、世界の美食家たちへの挑戦
#7:公開中|佐藤可士和が手がける アートとしてのワインエチケット
#8:公開中|小山薫堂が提案 京都の老舗料亭でしか味わえないスペシャルなペアリング
#9:本記事|世界の偉大なワインには、共通項がある 日本人オーナーが仕掛けるふたつのヴィンテージワイン

Promoted by ワイマラマ | text by Tadayuki Yanagi | photographs by Fred Lahache