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2018.12.10

ワインを知り尽くした先に辿り着いた一つのブランド

ワインテイスター 大岩由紀夫

バイヤーとして世界中のワインに触れてきた大岩由紀夫が、ニュージーランドワイン「ワイマラマ」のグローバル・ブランディング・オフィサーに就任したのは今年1月。「新たな挑戦」の背景にあった思いとは──。


「白ワインは酸っぱく、赤ワインは渋くて飲みづらい。決して美味しいとは思いませんでした」。当時大学生だった大岩が、アルバイト先のダイニングバーで、ワインと初めて出会った時の印象だ。しかしすぐに、ブドウの栽培方法や発酵のメカニズムといった、ワインの複雑で奥深い魅力の虜になっていった。

よりワインを知りたいと、夢中で勉強を重ねたことで、知識は豊かになったものの、「小石の丘という名前を持つ、コス・デストゥルネルという丘陵が……」と、提供するワインに応じて、産地や製法について言葉を添える度に、違和感が募るようになっていった。それは、自分で見ていないことを話しているからだった。
 
大学卒業後は単身フランスへ渡り、語学学校でフランス語を、ボルドー大学で醸造学を学んだ。フランスと日本を行き来する生活が数年続いた後、2005年にはボルドー大学醸造学部試飲コースのディプロマを取得。

「学校で勉強する以外の時間は、とにかく自分の足で生産者を訪ね、試飲させてもらいました」。その言葉通り、フランスに在住した4年間で訪ねた生産者の数は実に、700以上。書籍に書かれていた説明書きのほとんどを実際に体験し、大岩自身の言葉で生き生きと語れるようになっていた。

フランス留学からの帰国後は、大手ファインワインインポーターへ就職。バイヤーを10年以上務める中で、自分が買い付けたワインの商談にはできる限り同席し、そのワインがどのように造られてきたのか、生産者の想いや土地の特徴などを直接伝える機会を大切にしてきた。

しかし、1000品目以上という膨大な数のワインの取り扱いだけでなく、20名の部下を抱えマネジメントの役割は拡大。経営会議のための、販売予測や物流状況の把握はもちろん、社内外の調整業務に多くの時間を割かざるを得なくなっていた。
 
次第に、「自分が惚れ込んだブランドなのに、じっくり向き合って価値を高めていく仕事はできていないかもしれない」と思うようになっていた。そして遂に、「製造から販売まで一貫して手がける会社で仕事をしよう」と決意。18年、取締役としてワイマラマジャパンに参画することになった。
 
大岩の参画当時は、赤ワイン4種類にロゼ1種類というラインナップ。そこへ今年9月、ニューヨークでお披露目された「SSS 2009」が加わった。それでもわずか6種類という少なさだが、だからこそ、1本毎の特性をじっくりと理解し、それぞれに対する関係者の意見を聞けることが、大きな喜びでもある。



「レストランに持ち込ませていただいて、お料理とのペアリングを多角的に試せることも楽しいんです」と大岩は言う。実際、沢山のペアリングを通じて発見した、Minagiwa2009とバインミー(ベトナム風サンドイッチ)との相性の良さは、ワイン好きを驚かせた。
 
世界中のワインを数多く見てきた大岩だからこそ感じる、ワイマラマのワインの魅力を尋ねると、「手作業にこだわった、丁寧な味わいです」という答えが返ってきた。シャトー・ワイマラマでは、ブドウの栽培だけではなく、植え替えや収穫、ラベル貼りまでも、手作業で行われている。
 
フランス・ブルゴーニュのブドウ栽培家の所有面積は、1栽培家あたり約8haと、ワインの世界では小さいとされている。しかし、ワイマラマはさらに、その半分程度の4.5haしか所有していない。だからこそ、手作業だけでこだわり抜くことができるとも言える。しかしそれだけではない。オーナーの「ワインの新たなブランドをつくる」という大きな信念が、細部にまでこだわり抜く姿勢に表れているのだ。

連載:ニュージーランドワインの固定概念を覆す最高級クラスのワイン、「WAIMARAMA」
 
ワインは特殊な世界で、ヒエラルキーが明確にある。オールドワールドと呼ばれるフランスやイタリアなどの、何代にもわたって伝統的な製法でワイン造りが行われるような地域では、暗黙のルールに従う必要がある。



一方、ニューワールドと呼ばれるアメリカやオーストラリアでは、元来の凝り固まった考え方は適用されず、チャレンジが推奨される文化がある。だからこそ、1本50万円もするような規格外のワインが生まれたりもする。

「オーパス・ワンがカリフォルニア産かどうかなんて、重要視されないじゃないですか。オーパスはオーパスなんです。産地が気にならないレベルにまで到達できれば、ブランドとして認められたということ」と、大岩は言う。生産量が少ないワイマラマジャパンのワインは流通しないため、目に触れる機会が少なく、認知されにくい。その特殊な環境下において、ブランドづくりの挑戦として掲げたテーマは、ファンの存在。

それは、大岩自身がワインに魅了された、ファンのひとりだからなのかもしれない。「生産者が、ワインを選ぶ理由になるといいなと思うんです。誰がどんな想いで手がけたものなのかを知ることで、記憶に残る特別な1本になるから。ワイマラマのワインが、出会った方にとってそんな存在になれたらと思います」。

大岩由紀夫◎1975年愛知県生まれ。ワイマラマジャパン・グローバル・ブランディング・オフィサー。ボルドー大学醸造学部公認ワインテイスター。


初のイベントはNYで開催

現オーナーである佐藤 茂の父がワイナリー経営をスタートさせて20周年という節目のイベント「20 years celebration of Chateau Waimarama by Sato family」が、9月にNYの三ッ星レストラン「Per Se」で行われた。招待されたのは、主に現地のベテランジャーナリストたち。大岩はワインに合うメニューを決めるため、何度もレストランと打ち合わせを繰り返した。

「Per Se」がラグジュアリーワインの新作発表会の会場になったことは過去にもあったが、ここまでワインとメニューの相性にこだわるメーカーはなかったという。「SSS 2009」をはじめ、全5種の赤ワインにあわせたペアリングディナーを、トレンドセッターであるNYのジャーナリストたちが堪能した。彼らの評価は今後、ワイマラマにどのようなインパクトを与えるか。


連載「日本人オーナーが目指す世界最高峰のニュージーランドワイン」
#1:公開中|なぜNYだったのか?日本発「幻のワイン」イベントの全貌
#2:本記事|ワインを知り尽くした先に辿り着いた一つのブランド
#3:公開中|初リリースを迎えた、ニュージーランドワインの最高峰 Chateau WAIMARAMA SSS 2009
#4:公開中|佐藤可士和が挑む「ワイマラマ」のブランディング
#5:公開中|「畑がワインの味を決める」ニュージーランドでワインジャーナリストは何を感じたか
#6:公開中|「日本発ワイン×鮨」が仕掛ける、世界の美食家たちへの挑戦
#7:公開中|佐藤可士和が手がける アートとしてのワインエチケット
#8:公開中|小山薫堂が提案 京都の老舗料亭でしか味わえないスペシャルなペアリング
#9:公開中|世界の偉大なワインには、共通項がある 日本人オーナーが仕掛けるふたつのヴィンテージワイン

Promoted by ワイマラマジャパン / text by Maho Ise / photograph by Shunichi Oda

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