ビジネス

2021.09.16 07:00

ストレッチ専門店「Dr.stretch」、第三創業へ。コロナ禍でも好調の秘訣とは

ノビテル代表取締役社長 黒川将大


29年の実践から磨かれてきた知見が生きる


──第二創業期、ドクターストレッチを始めて11年でかつてなかった市場をつくり出し、業界最大手になりました。これまでをどう振り返られますか。
advertisement

実はここまで、当初描いていた戦略通りに来ています。経営者としての人生は29年になりますが、今は過去の経験が驚くほどに生きたチェーン展開ができているかと思います。

どちらかといえば、私は身銭を切って失敗して事業を覚えてきた方なので、大学で経営学を学んだわけでもなく、失敗して苦しむと本を読み、うまくいった人に会いって、自分でやってみての繰り返しでした。輸入に輸出、ネット事業……と色々な事業をやってきて、うまくいって伸ばせなかった事業もあるが、伸ばそうとしてうまくいかなかった事業もあるのです。ほぼ全てを経験していると言ってもいいくらいで、そうした知見は自分の中に貯まっている、とは思いますね。


advertisement

──コロナ禍でも前年比156%の集客増加と好調ですが、理由は何でしょうか。

実は自分たちも驚いています。“こんなことをやったから”と言いたいのですが(笑)。ただ、8割がお客様の指名でトレーナーとの信頼関係が成り立っているので、信頼、安心感はそういう意味ではあると思います。

あと、スポーツジムに行かなくなってしまった人たちが、来られているのかなとも思います。スポーツジムは自分で動く能動的に動くビジネスモデルですが、景気悪い時には受動的なビジネスモデルの方が良いという傾向があるのです。実際、リーマンショックの時もストレッチは好調でした。

ピンチの恐怖をどう乗り越える


──コロナが長期化し、不安を抱かれている経営者の方も多いと思います。黒川さんはこれまで沢山のピンチをどう乗り越えてこられましたか。

ピンチの数だけは多かったので(笑)。リーマンショック、東日本大震災の時もですね。20代の時にはスノーボードショップをつぶしてしまった時も7000万円の借金を背負って、20代で返しました。30代後半には2億円の詐欺にも遭いまして、人生で起きてほしくないことはほぼ起きたというか……。

でも人間って面白くて、一回、経験して乗り越えた“恐怖”というのは、体験しているからさほど怖くなくなっているんですね。僕がこれまでの人生で一番学んだことは何かというと、人間の恐怖は分からないからくる、ということです。

これはある時、ボディーガードの会社の社長さんに教えてもらったことです。ボディーガードを依頼する方は、何かしら狙われている可能性がある。どうして怖いかって、何されるかわからないから怖いでしょう、と。ところが「明日、1発だけぶん殴らせろ』と言われたら覚悟ができてしまうのです。「あぁそうか、1発か」というように。覚悟が決まれば、恐怖を乗り越えられる。経験すると恐怖が薄れていってしまう。それは薄れていってしまうのではなくて、受け容れる覚悟を人が持てるようになってくるのです。

今、コロナが怖い理由は、コロナの実態が未だよく分かっていないからです。みんな恐怖に慣れてしまっているんじゃないかと言われていますが、あれだけ報道されていたら、どうなるかわかるようになるので、わかっていくことで受け入れるということができるようになっているのです。
次ページ > 緊急事態宣言下、社員のモチベーションをどう上げる

文=加藤倫子 写真=藤井さおり

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事