中絶禁止の米テキサス州、大卒者3人に2人が転勤希望せず

Photo by Michael M. Santiago/Getty Images

米テキサス州で1日、妊娠6週以降の中絶を禁止する厳しい新法が施行されたことを受け、同州の企業は優秀な労働者を失う可能性がある。ペリーアンデム(PerryUndem)による最近の世論調査では、大卒労働者の66%が、テキサス州と同様の法律を施行する州への転勤は受け入れないと回答。さらに回答者の約半数が、こうした法律を施行する州からの転居を検討すると答えた。

人工妊娠中絶の85%以上は妊娠6週以降に行われるため、テキサス州では新法によりほぼすべての中絶が禁じられることになる。6週目までに妊娠に気付く女性はほとんどいない。同法はレイプや近親相姦の結果による妊娠も例外として認めておらず、中絶を「ほう助」した人物を一般市民が提訴することを認めている。同法は全米で最も厳しい内容で、米最高裁が中絶の権利を認めた画期的な「ロー対ウェイド判決」を覆すことにつながる可能性がある。

世論調査では、回答者の79%がロー対ウェイド判決を覆すことに反対だと答えた。また80%が、中絶は女性の権利や男女同権における「重要な」要素だと回答した。調査は、現在フルタイムで働いているかフルタイムの仕事を探している18〜64歳の大卒米国人1804人を対象に、8月13〜26日に実施された。

解答した女性の4人に3人が、テキサス州の中絶禁止法により同州で働くことを思いとどまることになると回答。73%が、テキサス州と同様の中絶禁止法を施行した州での仕事には応募しないと答えた。男性では、58%がテキサス州での就業を思いとどまると回答。53%が同様の州での求人には応募しないと答えた。

この傾向は、若い世代で顕著だった。中絶禁止法を理由にテキサス州で働きたくないと答えた人の割合は、24歳以下のZ世代で73%、ミレニアル世代では69%だった。

新型コロナウイルスの流行に伴う雇用環境の変化で、企業では既に大量の離職者が発生し、約1000万の求人が出ている。これを考えると、今回の世論調査結果は、雇用主にとっては懸念すべきものだ。また、中絶のほぼ全面的な禁止は、コロナ流行によって特に大きな打撃を受けている女性たちに対して、さらなる課題を突きつけることになる。
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編集=遠藤宗生

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