ゲイ・レズビアンなど同性どうしのカップルが同棲をするには、様々なハードルがある。不動産屋の窓口で、カップルだと思ってもらえずシェアハウス物件を紹介されたり、セクシュアリティをカミングアウトしたとしても、管理会社やオーナーの理解がなかったり。「KATATI」は、そんなLGBTQ当事者の物件探しのストレスをなくす目的がある。
スタッフは、PR・SNSマーケティング・営業を担当するUと、経理・営業のREYANの他に、人事・営業のMARIA(まりあ)、事務・営業のpooh.(ぷー)を含む計5人で、全員LGBTQ当事者だ(親しみやすさを重視しているため、全員ニックネームで活動)。
前編では、4人にLGBTQを取り巻く不動産事情を聞いたが、後編ではU、REYANを中心に「KATATI」に込めた想いや成長戦略を聞く。
“暮らし”を自由に選べる社会にしたい
──「KATATI」を立ち上げたきっかけは?
U:私は新卒から6年間不動産業界で働いてきたのですが、数年前に初めて同性カップルのお部屋探しを担当しました。その時、どうしても男女のカップルよりも提案できる物件数が少なくなってしまい、歯痒さを感じたんです。近年はLGBTQに対する差別や偏見が少なくなってきているとはいえ、管理会社やオーナーさんの理解促進が大きな課題だと思いました。
この時に抱いた「もっと暮らしを選べる社会になったらいいな」という想いが、「KATATI」につながっています。「すべての人が好きな部屋に住み、好きな住み方を選べる社会になるように」と模索していたのが、2021年2月にようやく形になりました。
PR・SNSマーケティング・営業を担当するU
REYAN:実は、KATATIの主体であるLivmoでは、かねてから同性カップル向けの不動産仲介サービスを展開してたのですが、そのことがなかなか当事者の方々に認知されず悩んでいたんです。
Uが話したような同性カップルの物件探しにおける課題は、不動産業界全体を変革しなければ解決されないことです。だからこそ、小さく取り組むのではなく多くの方に知っていただきたいと考えました。
そこで、2018年10月に、2人でYouTubeチャンネル「エルビアンTV」を開設し、まずは私たちの存在を知っていただくところから始めました。主に私たちカップルのリアルな日常を配信するチャンネルで、レズビアンを中心としたLGBTQの方々のコミュニティになればとも考えていました。
そこから約2年経ち、おかげさまでYouTubeの登録者数は10万人を突破。20~50代を中心とした幅広い方に見ていただけるチャンネルに成長しました。この成果も後押しして、社内で「KATATI」を本格始動させることが決まりました。