興味深いのは、同調査でフードデリバリーサービスにかける平均利用額が大きかったトップ3である港区、千代田区、渋谷区が、そのまま東京都の平均年収が多い区ランキングのトップ3であることだ。
総務省「令和2年度市町村税課税状況等の調」の市町村別内訳「課税標準額段階別令和2年度分所得割額等に関する調」に記載された各区の市町村民税を「課税対象所得÷納税義務者数」で計算して算出
ちなみに、東京都財務局の「令和3年地価公示価格(東京都分)の概要」によると、東京都の区市町村別用途別平均価格表で住宅地の地価公示が高いトップ3は千代田区、港区、渋谷区だった。1位と2位の順番は入れ替わったものの、これまたフードデリバリーサービスにかける平均利用額が大きかったトップ3と同じ顔ぶれである。
東京都福祉保健局の「平成29年度東京都福祉保健基礎調査」によると、小学生までの子供を養育する両親世帯の共働き世帯割合は61.5%、そのうち年間収入が1000万円以上の割合は28.5%だった。港区と千代田区の平均年収が1000万円を超えているのに対して、東京全体では世帯年収が1000万円を超えている共働き世帯が3割弱なのである。
前述の通り、一人暮らしや共働き世帯の増加が中食業界の成長の一因となっているため、高い共働き率を誇る東京では中食需要も高い。しかしながら、中食のなかでもフードデリバリーサービスの利用率の高さは収入の高さとある程度連動すると考えてよいのではないだろうか。
外出自粛下でなにをどのように食べるか。内食なのか中食なのか、中食のなかでもテイクアウトなのかデリバリーなのか。そこに注目して東京23区を見てみると、収入にライフスタイルが左右されるということが改めて見えてきた。