市場調査会社ユーロモニターによれば、ウーバーイーツをはじめとするデリバリープラットフォームの台頭もあって、全世界の飲食業界のデリバリー売上は2014年〜2019年ですでに2倍に拡大していた。
そこにコロナ禍が到来、今や「中食全盛」の時代だ。外食・中食市場情報サービスを提供するエヌピーディー・ジャパンによれば、日本の2020年の出前市場規模は前年比、実に50%増の6264億円だ。
日本の2020年出前市場規模(エヌピーディー・ジャパン)
ちなみにクレディセゾンがカード会員の決済データを基に行う消費動向調査、2020年8月期分によれば、東京都下23区のカード会員がフードデリバリーサービスに使う平均額は驚くべき高さだ。たとえば港区の会員の平均利用額は約12万円、月に48回利用している。
経営面から料理人のサポートを。「シェアキッチン」という発想
この流れを受け、飲食業界も大きく変化している。中でも、イートインスペースのないデリバリー特化のレストラン、「ゴーストキッチン」や「ゴーストレストラン」が増えている。
客席もホールサービス用人員も不要で固定費率を低くおさえられるため、料理人1人でも店舗運営が可能。それを支援するベンチャーサービスも台頭してきていて、これらを使えば月額18万円程度から独立開業もできるという。
BeChefの厨房から(写真は「BeChef+ 京都シェアキッチン」のもの
2020年9月、東京・渋谷に開業した「BeChef Shibuya」もそのひとつだ。京都・福岡に続く3拠点目で、広さ約30坪。3つの厨房施設を有し、6店舗が入居可能だ。オーブン、コンロ、フライヤー、冷蔵庫など、開業に必要な備品も備える。UberEatsなどのデリバリー、テイクアウトに対応している。
BeChef代表取締役の戸邊将文氏によれば、飲食業界では開業3年で約7割が撤退、10年継続営業できる店舗は1割程度だ。
「多額の初期コストや高額な賃料がハードルとなり、いくらおいしい料理を作っても資金繰りに行き詰まり、廃業に追い込まれるケースをこれまで目にしてきました。コロナ禍で外食産業が受けた影響で、働き口をなくした料理人の方も大勢います。その状況をなんとかしたいと思いました」と、事業立ち上げの経緯を語る。