0歳からの「お金の話」

Tom Merton/Getty Images

明治安田生命保険が発表した調査結果によると、今年の夏休みに使うお金の平均額は1人あたり5万3807円となり、2006年の調査開始以来、最も少ない数値となった。新型コロナウイルスの感染再拡大のため、帰省や旅行を控える人が多いことが、この結果に繋がったのだろう。

このような状況もあり、今年は子どもと家で一緒に過ごす時間が例年よりも増えると考えられる。なので、これを機に子どもとお金の話をしてみてはどうだろうか? 今回はその際に知っておくべき金融教育の現状を共有したい。

金融教育を早期から始める必要性


この数年で「マネーリテラシー」という言葉をSNS上で見かける回数が増えたように、近年では金融教育の必要性が徐々に認知されつつある。子どもとお金の話をする前に、まずはそれらの理由をしっかりと理解する必要があるだろう。

2019年6月に金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が公表した「高齢社会における資産形成・管理」という報告書がある。

そのなかで、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯では、老後資金が毎月約5.5万円の不足が生じるため、20~30年間の不足額が約1320万円~1980万円に上るという試算が明らかにされた。「老後2000万円問題」という言葉が世間を騒がせたので記憶に新しいことだろう。

厚生労働省の集計によれば、2020年の日本人の平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.74歳といずれも過去最高を更新しており、男性は世界第2位、女性は世界第1位という長寿国となった。今後もさらに平均寿命は延びていくと予測されている。

一方、厚生労働省が公表している「就労条件総合調査」によれば、平均退職給付額(大学・大学院卒)は、1997年の3203万円から、2017年は1997万円まで落ち込んでおり、「人生100年時代」において老後資金をどのように準備していくかが、非常に重要な問題となっている。しかも日本では超低金利時代が長く続いており、貯金は資産形成の手段にはなりえないからだ。

また、資産ではなく負債のほうに目を向けると、同じく超低金利時代を背景に、住宅ローンの残高も借入期間も伸長している。これは住宅ローン減税などの制度的な影響もあるだろう。住宅金融支援機構が公表した「住宅ローン利用者調査(2021年4月)」を見てみると、変動金利型を選択している比率は68.1%となっており、潜在的な金利リスクも抱えている。

このように資産形成と負債管理の観点から、金融教育を早期から始めていく必要が高まっている。

このような人生100年時代や超低金利時代といった日本固有の条件下において、家計における資産と負債に対して各人がどのように対応していくのかという問題意識からだけでなく、未成年という観点からも、金融教育の重要性は増している。

たとえば、2018年6月の民法改正により、2022年4月1日から成年年齢が現行の20歳から18歳に引き下げられる。そのため、これまでは未成年者取消権による保護があった18歳と19歳は、今後は自らの責任において消費者契約などをする必要が出てくる。

近年はSNSやコミュニケーションアプリを通じた特殊詐欺も増えており、それなりの金融リテラシーがないと、未公開株や仮想通貨、先物取引などをめぐる詐欺に引っかかる可能性が出てくる。

文=森永康平

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